二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【短編集】True liar【inzm】オリキャラ募集中! ( No.93 )
- 日時: 2012/05/05 22:52
- 名前: 海穹 (ID: fQORg6cj)
- 参照: 突発行くぜ! 説明なしで何の話か分かった人は私と握手!
突発オリジナル小説
「おかえり」
声が聞こえる。嬉しそうなそれが。
これが聞きたくて、何年も何年も頑張ったんだって思うと、この声が凄く嬉しい。
皆、僕は帰ってきたよ—————
「今日なんだよね!」
あの子が返ってくるのは
「そうだよ!今日だよ!」
ずっと頑張ってきたあの子が返ってくるのは
「おかえりって、言わなきゃね」
どんなことがあっても、めげずに頑張ったんだから
「何処に来るの?」
「う〜ん……詳しくは分かんないなあ」
でも、ちゃんと帰ってくるよ
「来たよ!僕、頑張ったよ!!」
嬉しくて、喉が張り裂けそうなほど声上げれば、辺りからの声がまた大きくなった。
もう少しだ———
踏ん張って、最後の力を振り絞って、僕は駆けだす。凄くすごくスピードが出てる。なんせ最後だから。頑張ろう、もうちょっとだ。
頑張って!もう少し!
こっちだよ!こっちにおいで!
皆待ってたよ!
お疲れ様!よく帰って来たね!
おかえり!!!!
声が聞こえる。あぁ、帰ってきたんだ、僕は。あの温かい故郷へ。
「おかえりなさい」
そう言って、両手を広げて待ってくれている、蒼い綺麗な服の女神さま。
僕はその女神さまの腕の中に思い切り飛びこんだ。
微笑む女神さまの周りから聞こえるのは歓喜の声。僕を待ってくれてた人たちの声。僕の故郷の人たちの声。
ありがとう、ずっとずっと待っててくれて。
「ただいま」
そう言った少年は女神さまの腕の中ですやすや寝息を立てて眠りだした。
仕方ない。あんな大変なことをやってのけたんだから。
その大変なことの名残なのか、足にはたくさんの傷。服も汚れてしまっている。あぁ、大変だったんだね。少し休んだら、いろんな話、聞かせてね。
皆聞きたがってるんだよ。君の冒険談を。
女神さまは徐に少年の服のポケットに手を入れた。その中にはほんの少しだけ煌く小さな小さな砂。それは少年が女神さまに持ってきた大切な大切なお土産だ。
「ありがとう」
女神さまその砂を大事そうに握りしめた。
辺りから聞こえる歓喜の声の中、少年は誇らしげな笑みを浮かべながら女神さまの腕に抱かれる。疲れて寝ている少年に、誰もがこう言った。
おかえり 君の生まれたここに——————