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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 夏目友人帳 —分かち合うのは— ( No.13 )
- 日時: 2012/05/12 10:12
- 名前: フウ ◆vauozlQS2w (ID: 4djK7y3u)
第三話
視界が回る。
「ぐっ……」
瞬間、もやしを思わせる細い杉に手をつくと、見た目に似合わずしっかりと夏目を支えてくれた。こんななりでも、地中に深く潜り、土を掴む根があるのだろうか。
「また立ちくらみか! おい夏目、これを機にお前はもう少しパワーをつけろ!」
先を行くニャンコ先生は首を曲げ、細く釣り上げた猫目できつく睨みつける。そのさらに上の方で大分小さくなっている白瀬は包帯を巻いた右手を腰、左手を口の横へ当て何事か叫んでいた。
しかし、間隔がだいぶ空いているからかセミの合唱がうるさすぎるからか、夏目の耳は彼女の声を拾えない。それでも、口の動きから言っていることは大体理解できる。
——しっかりしろー、なっつーん。
誰がなっつんだ。
うっとおしいと思うと反面、妙に気恥ずかしく胸がむず痒い。
「まだ半分しか来ていないのだぞ! ちゃきちゃき歩かんか!」
そうニャンコ先生は言うが、このペースは自分じゃなくても速い方だと思う。先生や、塔子さんが用意してくれた原型が崩れるくらい飲料水が詰まったリュックを背負って歩ける白瀬の方がおかしいのではなかろうか。
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