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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 現代版★少年陰陽師 ( No.4 )
- 日時: 2012/04/15 15:47
- 名前: 羽月 (ID: enDlMgfn)
「ただいまー」
そう言うと、一人の神将が姿を現した。
「昌浩、彰子、それから騰蛇。お帰り。新学期一日目、どうだった?」
「うん、特に何も」
「『特に何も』って…、昌浩」
半眼になる勾陣をよそに、昌浩は自室へと入っていった。
「まったく…、あれが最近の年頃の子供と言うやつなのか?」
ウン千年と生きている十二神将だが、時代の流れというものにはついていけないらしい。
首を傾げる勾陣を見た彰子はくすりと笑い、言った。
「ねえ、勾陣。今年は昌浩と同じクラスになったの」
にっこりと笑う彰子につられて、勾陣も口元に笑みを浮かべながら答えた。
「そうか、彰子。それは良かったな」
「うん」
しばらく雑談を続けていると、勾陣が急に声のトーンを落として言った。
「そういえば、『あの事』なんだけど…」
「…」
「例のブツが無かったんだ」
「…えっ?」
彰子の顔に焦りが走る。
「本当に?」
念を押す彰子の問いに勾陣は重々しく答えた。
「ああ。色々探したんだが、どこにも無くてな…」
「……そう。じゃあ私が探しに行くわ。…ついてきてくれる?」
「勿論だ」
「ありがとう。じゃあ…」
「彰子、勾陣。何してるんだ?」
「!?」
「玄関の前で、こそこそと…」
訝しげな表情の昌浩に、彰子が言った。
「別に、何も。ただ、話が盛り上がっちゃって…」
しかし、昌浩はなおも訝しげな表情をしている。
「彰子、俺に何か隠してないか?」
「…何も」
「じゃあ、さっき何話してた?」
昌浩の問いに彰子が口ごもる。
「それは…」
そこに勾陣が助け船を出した。
「女同士の秘密だ、昌浩。それよりも早く仕事に行ったらどうだ?」
「……………そうだね」
そう言って、昌浩は渋々安倍家を出ていった。
そしてやはり、昌浩の姿が見えなくなると、彰子と勾陣は安堵のため息をついたのであった。
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