二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師パラレル現代版★短編集 ( No.109 )
日時: 2012/06/20 21:41
名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: 7H/tVqhn)

「 …と言うわけで、もっくん」
「何だ?」
「妖怪はどの辺に現れると思う?」
 昌浩の問いに、物の怪は半眼になった。
「……………おい。それを考えるのがお前の仕事だろうよ」
「だって、わかんないし」
 口を尖らせる昌浩を見て、物の怪は溜め息をついた。
「 …ったく、これだから晴明の末裔は——」
「末裔言うな! 物の怪のもっくん !!」
「物の怪言うな!」
 そんな二人の会話を聞くともなしに聞いていた六合は、ふと空を見上げた。それに半瞬遅れて、物の怪も顔を上げる。それを見た昌浩も二人に倣って顔を上げた。
「 …妖怪——」
 遠くの方から、禍々しい妖気が流れてくる。
「昌浩、行くぞ!」
 走り出す物の怪のあとについて、昌浩も走る。
「それにしても、もっくん」
 走りながら昌浩が口を開く。
「どうした、昌浩」
 昌浩同様、走りながら物の怪が訊く。
「妖怪がいるとこ、結構遠いよね」
「そうだな」
 すると、昌浩は右手の親指と人差し指で丸を作り、それを口元をもっていった。
 高い音が辺りに響き渡り、その数秒後、ガラガラガラと音が聞こえてくる。
「 …なるほど」
 物の怪は立ち止まった。
 ガラガラガラという音は次第に大きくなり、昌浩の前に牛車が現れた。しかし、肝心の牛はおらず、車の部分だけだ。
「車之輔! ありがとう!」
 そう言いながら、昌浩はそれに乗り込む。物の怪も昌浩のあとに乗り込む。
「車之輔。東の方角、妖怪がいるところに行ってくれ !!」
 彼の式である妖車は、主の言葉に従って、物凄い速さで走り出した。