二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師パラレル現代版★短編集【参照1000突破感謝】 ( No.121 )
日時: 2012/07/08 17:31
名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: iP.8TRIr)

「…ねぇ」
 星空の下、小さく呟くと、何も答えずに静かに彼女を見詰めた。
「どうした、風音」
 風音は彼の黄褐色の静かな双眸をじっと見た。
「…ううん、何でもないの」
 首を振ってそう言う風音に、六合は「そうか」とだけ言って、再び星空を見上げた。それを見た風音も、彼に倣って顔を上げる。
 藍色の空に見えるのは、天の川。
 今日は七月七日——七夕だ。
「晴れたから、織姫と彦星は出会えたかしら?」
 風音が天の川を見上げながら呟くと、隣にいる彼は何も言わなかった。
 彼は、いつも静かに見守っている。何も言わずに、ただ見守ってくれている。
「…ねぇ、彩輝」
 彼女の他には、彼の主である者しか知らないその名を呼ぶと、彼は再び風音の瞳を見詰めた。
 黄褐色の瞳は、とても静かで、優しくて。
「…ずっと、一緒にいてくれる?」
 静かな双眸を見詰め返して問うと、彼は少しだけ目を見張った。
「勿論だ」
 それから、風音は彼に抱き締められた。
「——ずっと、一緒にいる」
 他の誰でもない、お前の傍に。
「…ありがとう、彩輝」
 風音は嬉しそうに笑った。

 星空には朝日が昇ってきて、彼の瞳と同じ、鮮やかな朝焼けの色になっていた。