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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師パラレル現代版★短編集 ( No.136 )
- 日時: 2012/08/20 00:18
- 名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: HjIs5c3i)
- 参照: あと少しで完結です。
彰子はその場に倒れ込んだ。
どくん、と心臓が鳴る。それと同時に、全身に痛みが走る。
「……あ——っ」
どうなっているのか、分からない。ただ一つ分かることは、自分が今、危ない状況にいること。
「まさひ…ろ——」
絞り出すようにして、大切な人の名前を呼ぶ。
緩慢な動作で半身を起こすと、闇のように真っ黒な妖怪がそこにいるのが視えた。
それはゆっくりと彰子へ近づく。そして——。
彰子は目を固く閉じた。
「禁!!」
眩しいほどの光を感じて、彰子は目を開けた。
「あ……、昌浩——」
彰子は微笑んだ。
昌浩が妖怪と彰子の間に立ち、結界を張ってくれている。
「彰子、ごめん。来るの、遅れて」
結界の向こうに居る妖怪を睨んだまま昌浩が謝った。
彰子はふるふると首を横に振った。
「いいの。昌浩が今、こうして助けてくれているから」
昌浩は肩越しに彰子を振り返った。その顔は、哀しげに微笑んでいた。
「ありがとう、彰子」
そして、昌浩は結界を解いた。
「オンアビラウンキャン、シャラクタン!」
妖怪が逃げ出そうとする。
「臨める兵、闘う者、皆陣裂りて前に在り!!」
しかし、妖怪が逃げ出すより早く、昌浩の言霊が刃と化し、妖怪を切り裂いた。
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