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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師パラレル現代版★短編集 ( No.30 )
- 日時: 2012/04/23 19:41
- 名前: 羽月 (ID: 4dKRj7K1)
「あーあーあーあー。可哀想な昌浩君」
真っ暗闇の中。高めのよく通る声が聞こえる。
「いっくら今日が一年に一回の昌浩君の誕生日でも、いっくら明日が学校の課題テストだって、他の奴等にはそんなこと関係無いんだからなー」
白い姿をした物の怪が、長い尾を揺らしながら言う。
「本当に可哀想な昌浩君」
「黙れ、もっくん」
昌浩が笑顔で言った。
「だいたいそんなこと言ってる暇があったら、妖怪の一つや二つや三つ探し出してやっつけてくれよ!」
「無理」
端的に言い返されて、昌浩は一瞬、言葉を失った。
「あ…のな——!」
「大体それを祓うのが陰陽師、昌浩の仕事だ」
くわーっと大きな欠伸をする物の怪。
「眠いねぇ…」
「だったら、家で眠ってろ」
「酷いなぁ。昌浩」
口を尖らす物の怪に、昌浩はきっぱり言った。
「酷くない。…それより——」
「…——」
空気が、変わった。
それは本当に微弱で、力がある人にしか分からない程度。しかし、昌浩にはそれで充分だった。
「あっちの方だ!行くぞ、もっくん !! 」
「おうよ」
そうして、一人と一匹は妖怪の方へと向かっていった。
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