二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師パラレル現代版★短編集 ( No.48 )
日時: 2012/04/30 13:10
名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: iP.8TRIr)

「昌浩ー。はやく帰らないと、夕飯に間に合わないぞー」
物の怪に呑気にそんなことを言う。
「わかってるよ!」
急いで帰る準備をし、ぱたぱたと教室から出る。
と。
「あ!ヤバい。忘れ物した」
昌浩が言うのを聞いて、物の怪は「はあ…」と溜め息をついた。
「俺は先に校門まで行ってるから、昌浩、忘れ物取ってこい」
「うん。ごめん」
そう謝って、昌浩は教室へと再び駆け出す。
対しての物の怪は、のんびりと校門まで歩き始めた。
校門が見えるところまで来ると、物の怪は「あ」と声を漏らした。
「もっくん!昌浩は?」
校門に立っていたのは、彰子だった。
「あー、忘れ物を取りに戻った。多分、もうすぐ来る。…と言うか、彰子はこんな所でなにやってんだ?」
物の怪には大体の予想がついていた。そして、彰子が答えたことは、物の怪の予想と寸分違わなかった。
「あのね…昌浩を待ってたの」
はあはあ、この少女は昌浩のことを二時間も待ってたわけか。それにしても、昌浩は可愛げな女の子を一人、校門に待たせるなんて酷い奴だなぁ。
そんなことを考えていた物の怪に、彰子の声が再び聞こえた。
「それに…」
「?」
「昌浩、元気がなかったから」
彰子が、小さな声で言う。
「だから、私が元気にしてあげないと」
「……———」
まあ、昌浩にとって、彰子が一番の元気の源だろう。
「けど、何をしてあげればいいと思う?」
物の怪は、しばし考えたあと、こう言った。
「お前が傍にいるだけで、あいつには十分だよ」
「———…」
「もっくん!お待たせ——って、彰子 !? 」
昌浩の幾分か慌てた声が聞こえてきた。
てことは、自分はお邪魔虫か。
そう思い、物の怪はさっさと歩き始めた。
「あれ?もっくん、どこ行くの?」
昌浩の問いに、物の怪のニヤリと笑って答えた。
「お前ら、二人っきりにさせてやるよ」
「え !? 」
「?」
どうやら、彰子には聞こえなかったらしい。その方が良いが。