二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師パラレル現代版★短編集 ( No.61 )
日時: 2012/05/03 13:09
名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: lwQfLpDF)

「…じゃ、いってきます」
「行ってらっしゃい」
 昌浩と彰子を、勾陣が見送る。
「気を付けてな」
「うん、大丈夫」
 そう答えて、微笑みながら彰子に言った。
「行こうか、彰子」
「うん!」
 二人は嬉しそうに、遊園地へと繰り出していく。
 と、そんな二人の後ろをついていっている物の怪を見て、勾陣は物の怪を捕まえた。
「… あ!?  何をする! 勾!」
 自分の手の中で、じたばたと暴れる物の怪を呆れ顔で見ながら勾陣は言った。
「『何をする』は、こっちの台詞だ。騰蛇、お前は一体どこへ行くつもりだ?」
「そりゃあ、あの二人の護衛に——」
「馬鹿が」
「はあ !?」
 物の怪がチラリと後ろを見ると、勾陣はほとほと呆れたような顔をしていた。
「お前は、あの二人のデートを邪魔する気か?」
「………あ」
 ようやく物の怪にも合点がいった。
「今日ぐらい、二人きりにさせてやろうじゃないか」
 勾陣の提案に、しかし物の怪は首を振った。
「駄目だ!」
「何故だ!」
「もし、妖が現れたら、どうする !?」
 物の怪の言葉に、勾陣は「はあ?」と言った。
「昌浩は陰陽師だぞ。退治するに決まっている」
「だからって! あいつはまだまだ半人前陰陽師だ!」
 物の怪は、自分の意見を次々と話し出す。
「彰子と一緒にいるんだぞ! 彰子を護れなかったらどうする !? それに、昌浩が怪我でもしたらどうするんだ! 俺は心配で心配で——」
「…過保護か」
 ため息混じりに勾陣が呟く。
「過保護じゃない!」
 そう言って、物の怪は人身をとった。
「俺はいくら勾がとめようと、二人についていくぞ!」
「………」
 呆気にとられた勾陣は、その場に呆然と立ち尽くした。一方の騰蛇は、その隙を見て、昌浩と彰子を追いかけていった。
「…って、おい!」
 ようやく我にかえった勾陣は、過保護な騰蛇を連れ帰るべく、急いで追いかけていった。