二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師パラレル現代版★短編集 ( No.63 )
日時: 2012/05/03 15:02
名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: LkHrxW/C)

「うわあぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」
「今のは昌浩の声 …… !?」
 十二神将は耳がいい。人とは比べ物にならないほどに。
 と言うわけで、騰蛇には、昌浩がジェットコースターに乗って叫んでいる声が聞こえた。
「昌浩! 一体どこにいる !?」
「待て、騰蛇」
 再び走り出そうとした騰蛇の腕を、ようやく彼に追いついた勾陣が掴んだ。
「勾 … !? 何故ここにいる?」
「貴様のせいだ………!」
「………え」
 普段は、漆黒の瞳を持つ勾陣だが、今は金色に光っている。そうなるのは——怒っている時。
「貴様が勝手にどこかへ行くからだろう! 馬鹿が!」
「………」
 さすがの騰蛇も何も言えず、ただ黙って聴いている。
「私が『待て』と言っても待たないんだから、貴様は…!」
 そうして、言った。
「帰るぞ」
「………はい——って、駄目だ!」
 勾陣の剣幕に押され、素直に返事をした騰蛇だが、自分がここに来た目的を思いだし、反論した。
「何故だ!」
 勾陣の鋭い瞳が騰蛇を射抜く。
「俺は昌浩と彰子の護衛をするんだ!」
「何を言っている !? 護衛なんて必要ない!」
「いいや! 必要だ !!」
 そこで騰蛇は、先程の昌浩の悲鳴を思い出した。
「さっき、昌浩の悲鳴が聞こえた」
「…はあ?」
 勾陣が馬鹿にしたように言った。
「…何も聞こえないじゃないか」
「違う! さっきは聞こえたんだ!」
「聞こえない! 大体、妖の気配もしないじゃないか」
「それでも、さっきは聞こえたんだ !!」
 騰蛇と勾陣は気付かない。
 二人が口喧嘩しているのを、回りにいる人間が遠巻きに見ていることを。