二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師パラレル現代版★短編集 ( No.66 )
- 日時: 2012/05/04 11:36
- 名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: AzXYRK4N)
「うう …。… 酔った …」
「大丈夫? 昌浩 …」
青ざめている昌浩の横で、何ともないような顔をした彰子が心配そうに訊いてくる。
「大丈夫…じゃないかも」
「えぇっ !?」
彰子は辺りを見渡した。昌浩と彰子は今、ジェットコースターを降りたあと、気分が悪くなった昌浩を休ませるため、近くにあったベンチに腰掛けていた。と、彰子はお目当てのものを見つけ、「ちょっと待ってて」と言うと、そのままどこかへ駆けていった。
一人残された昌浩は、ぼんやりと空を眺めた。
——こんなことになるなんて、本当に情けない。
それに、彰子に迷惑をかけてしまっている。
そこに、彰子が手に缶ジュースを持って、戻ってきた。彰子はそれを昌浩に渡した。
「コーラだけど… 、何か飲んだ方が良くなると思って… 」
「… ありがとう」
昌浩はそれだけ言うと、コーラを飲んだ。
熱い喉に冷たいものが流れていき、ほてった身体を冷やしてくれる。
「大丈夫?」
彰子が再び、心配そうに問うてくる。
「うん、… 大丈夫。そろそろ行こうか」
そう言いながら、昌浩は立ち上がった。
「もう大丈夫なの? 昌浩… 」
彰子は尚も心配そうに訊いてくるが、昌浩は笑って答えた。
「大丈夫。だから、行こう」
「 …うん」
ようやく彰子が納得してくれ、二人は歩き始めた。
「じゃ、次はどこ行く …… って、何?」
なぜだか人だかりができている。
「何かやってるのかしら …?」
昌浩はひょいと背伸びをして、人だかりの向こうに何があるのかを見た。と。
「 …って、あれ、紅蓮と勾陣 !?」
「え?」
昌浩より頭一つ分ほど小さい彰子は見えないようで、昌浩の言葉に驚いた。
「昌浩、どういうこと…?」
「…いや、俺にもよくわかんない」
見る限りでは、紅蓮と勾陣が痴話喧嘩をしている。
「どうしようか…?」
こんなに人だかりができていて、話しかけるのも恥ずかしい。ここは、他人のフリをして逃げるのが無難か。
「行こう、彰子」
いまいち状況を把握できていない彰子の手を引いて、昌浩はその場から逃げるように立ち去った。