二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師パラレル現代版★短編集 ( No.78 )
- 日時: 2012/05/06 01:53
- 名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: enDlMgfn)
よかった、よかった。昌浩と彰子は、無事仲直り出来たようだ。
「 …ということは、私はもう要なしだな」
ぽつりと呟いて、これから自分はどうしようかと考えたとき、勾陣は同胞の気配を感じ、そちらを向いた。
「騰蛇、何をしているんだ?」
騰蛇は、看板の陰から勾陣のことを見つめていた。
「 …え、いや、何も——」
「 ……… ? 」
明らかに騰蛇の様子がおかしい。
ま、いいか、と思い、「帰るぞ」と言うと、しかし、騰蛇は動かなかった。
「どうしたんだ? 騰蛇、おかしいぞ」
勾陣が指摘すると、騰蛇は「煩い」と言った。
「あの… な。さっ… さっきの、こと、だけど」
しどろもどろに騰蛇が言ってくる。
「……………?」
仕方がないので、黙って続きを待つ。
「さ… さっき、は、——ごめん」
「……………は?」
勾陣は思わず聞き返してしまった。
「だから! さっきは、悪かったな! その… 、怒らせたみたいで——」
「 ……… 」
なんだ、そんなことか。
確かに、あのときは怒っていたが、今はそんなこと忘れていた。
「別に、いい。気にするな」
勾陣はそう言ったが、騰蛇はまだ何かを言いたさそうにしている。
「なんだ?」
勾陣が呆れ気味に訊くと、騰蛇はポケットから小さな袋を取り出した。
「これ、お詫びだ——!」
それを無理矢理に勾陣の手に握らせると、騰蛇はその場から去っていった。
「 …何なんだ? これは——」
独り言を呟きながら、勾陣は騰蛇から手渡された小さな包みを開けた。
そこに入っていたのは。
「ネックレス… ?」
銀の鎖に、小さなダイヤがついている、どこにでも売ってありそうなネックレスだった。
「こんなもの、一体どうしたんだ… 」
呟いて、ネックレスを再び袋の中にしまった。袋には、この遊園地のマスコットキャラクターが描かれていて、ここで買ったものだということがわかる。
「……………——」
勾陣は薄く笑って、安倍家へと帰っていった。