二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 歪む世界にトリップしました。   inzm ( No.19 )
日時: 2012/04/23 12:01
名前: 姫宮玲奈 ◆jeE51Dec5A (ID: LMLu5hTj)

★ 。* ° * 3話 【舞】* ° * 。★


お互いの自己紹介が終わると、少年…風丸君は走り、目的地に着いた。

「ここが、俺ん家。あ、歩けるか?」

「あ、大丈夫だと思います」

風丸君は私に聞いて、私の返事を聞くと、ゆっくりおろしてくれた。

腕、痛かっただろうに…。

ごめんなさい、と心の中で謝りながら、地面にたった。

先ほどまでのダルさはもうなく、歩けた。

そんな私をみて、「大丈夫そうだな」といって、風丸君は微笑み、家に通してくれた。

家の中は人の気配はなく、部屋は暗かった。

風丸君が電気をつけると、質素な部屋で、家具もあまりなかった。

「あ、俺ん家、親住んでないから、ゆっくりしてってよ。まあ、変な奴等は住んでるんだけど…いまいないし。」

「え、お父さんとお母さん、いないの?」

変な奴というのが気になったが、其処には触れずに親のことを聞いた。

風丸君は少し困ったような顔をして、慎重に言葉を選びながら話してくれた。

「あー俺ん家、父親いなくてさ…。お母さんは俺達の為に、遠くで働いてて、家離れてるんだ。三ケ月に一度は帰ってくるんだけどな。」

意外だった。

お父さんがいなくて、お母さんのもたまにしか会えないなんて、私のは、耐えられない。

彼は、しっかりしているな、と感心した。

その時…

「おーい、一郎太!帰ったよ!…って…この人、誰?」

急に窓があいて、可愛い少女が入ってきた。

否、はいったと言うよりは、乱入した、と言うべきだろう。

その少女は、私を怪しい物を見たような目で睨み、風丸君に言った。

「一郎太?こいつ、誰?」

ついに、こいつ呼ばわりになった。

風丸君は、私の事を軽く説明し、夕飯の仕度を始めた。

私は、改めて彼女に自己紹介をした。

「あの…羽空美優です。宜しくね。」

彼女は私を睨み付けるように見て、「フン」と言って、キッチンへ行ってしまった。

どうしてだろうか?

そんな事が頭に浮かんだが、気にしない事にした。

「あ、一郎太。'澪'が来てないんだけど。」

「え、どうしてだよっ!」

少女の報告に驚く風丸君。

「さあ?」

彼女は、あまり気にしてない様子。

風丸君は、「はあ。」と溜め息を吐いた後、「探してくれよ」と言って、キッチンへ戻った。

少女は「えー。やだな。めんどいし。」とぶつぶつと文句を吐いていたが、素直に探しに行った。

根は良い奴かもしれない、と考えながら、私はキッチンへ向かった。

キッチンでは、風丸君がせっせと仕事をしており、カレーの良い匂いがした。

風丸君は忙しいらしく、私がここに来た事に気づいていない。

「風丸君…手伝おうk…」

「おーい、帰ったぞ」

例の少女の言葉によって、打ち消されてしまった。

「あ、'舞'!'澪'は!?」

少女は舞と言うらしい。

澪と言うのは、探している人だろう。

舞というしょうじょは、笑って答えた。

「あー、澪、近所のおばさんの買い物手伝ってたぜ」

「そ、そうか…」

その答えにほっとして、風丸君は再びキッチンへ戻った。

私と舞という少女だけが、リビングにいたが、何一つ話す事なく、10分が過ぎた。

暫くして、舞と言う少女が、口を開けた。

「おい、お前…美優だっけ?お前、一緒に探しに行かねぇ?澪を。」

澪と言う人を、探しにいかないか、誘われた。

行くのは、別に良い。

だが、舞と言う少女と一緒に行くのが嫌なのだ。

彼女と居ると、何故か不安なのだ。

「行くで良いんだなっ。ほら、行くぞ」

私が中々答えを出さないので、とうとうキレたらしい。

「わ、分かったよ〜」

こうして、私は、人探しをするはめになってしまった。