第二十九話銀時と竜次郎が家に戻る少し前。「私も好きだから・・・大好きだから・・・」はらはらと涙が落ちる。「だから・・・これからも一緒にいよう?」涙交じりにつぶやく時子の声は、もう銀也には届かなくて。「ね・・・・私より先に死なないって言っただろう?ずっと一緒にいるって言っただろう?約束だって、・・・銀也・・・」まだ温かみの残る銀也の唇にそっと一瞬重ねて。雨の静かな音をききながら、微笑んで時子は玄関へと向かった。