二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: いつまでも君を〜〜  銀魂 ( No.61 )
日時: 2012/10/24 19:48
名前: 音羽 (ID: Atisa3iW)

第三十八話


 泣き叫ぶ声。

一つはもちろん、新しくこの世に生を受けた子供のもの。

そして、もう一つは。

「なんで! なんで!? ねえ時子さん! 目ぇ開けてよ! ねえ時子さん!」

竜次郎の、ものだった。

「ねえ、時子さん!? 時子さん!」


——30分前。

全身にだくだくと汗をかき、息も絶え絶えな時子が、幸せそうに微笑んだ。
生まれたばかりの泣き叫ぶ我が子を眺めて、その手に抱えて。

元気に泣き叫ぶ“銀時”を抱いて、ゆっくりと微笑んだ。同時に銀時も少しずつ泣き止んで、時子へと抱き着く。

部屋へと入った竜次郎や母も、ふっと安堵の息をはいた。

「は……あ、の。よしだ……さん」

弱弱しい声で呼ぶ時子。銀時を抱く腕にもあまり力が入っていないのか、銀時もむずがって再び泣き出した。

「何? 時子さん? よくがんばったわね」

「ありがとう……ございました」

『よしだ』とよばれた、竜次郎の母がにっこりと笑って時子に応じた。

「いいのよ。りゅうもいつもお世話になってるしね。これから頑張るんだよ。男の子は大変だから」

その言葉に返事をせずに時子はふうっと息を吐いた。

不安げな表情の竜次郎と、泣き叫ぶ銀時と。


「そう……ですね。ありがとうございます。がんばります」


長い沈黙のあと、時子はそれだけ言って、目を閉じた。