二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: いつまでも君を〜〜  銀魂 ( No.62 )
日時: 2012/11/07 21:34
名前: 音羽 (ID: CjH0A5vV)

第三十九話

——そして、今に至る。


「時子さん! ねえ、赤ちゃん! 赤ちゃんは!? 生まれたばっかりでしょ! ねえ時子さん!」

涙交じりに叫ぶ竜次郎の視線の先にいる時子は、目を閉じたまま動かない。銀時を抱いていたはずの手もだらりと力なく落ちたまま。
 
「りゅう。さわぐでないよ……」

ぽつりとつぶやいた母も呆然としたまま、銀時を抱き上げる。依然として大きな泣き声を上げる銀時は、時子の……母の死を知る由もなく。

「母上……その赤ちゃんが……その赤ちゃんが時子さんをころしたの?」

泣いて泣いて叫んで、ぼそっと吐き出された声。
そんな竜次郎の頬を、母親はひっぱたく。その頬には涙が浮かび、息子を哀しげな顔で見て。

「何言ってるの? あなたは時子さんのことをどう思ってるの? この赤ちゃんが、時子さんを殺したと、本気でそう思っているの? 馬鹿なこと言うんじゃないよ。この子は、時子さんが。死んでもいいと、死んでもこの子を産みたいと、そう思って産んだ子じゃないの!? ねえ竜次郎。二度とそんなことをいうでないよ。母の気持ちは、皆一緒なんだ。母が子を思う気持ちは、誰でも一緒なんだよ。この子が時子さんを殺した? そんなことあるわけないでしょう!」

銀時を抱きしめながら……。

「時子さんは、時子さんはね? 銀時を、銀時をどうかよろしくお願いします、私は体が強くないから、死んでしまうかもしれないけれど、旦那や、私の、銀時をどうかよろしくお願いします、と私に言ったの」

竜次郎は涙ながらに自分を叱る母と、いつの間にか泣き止み、しわくちゃな顔でこちらを見ている銀時と、もう動かない時子とを順繰りに見回して……。


再び大声で泣き出した。