二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: いつまでも君を〜〜 銀魂 ( No.94 )
- 日時: 2013/02/10 17:08
- 名前: 音羽 (ID: TNe6IF2u)
- 参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs/index.php?mode
第五十二話
銀也と時子が死んで、幾年。
赤ん坊の銀時は、少年になり、火事から逃げ出して、走り続けていた。もうどれくらいになるか、一昼夜走り続け、裸足の足は土にまみれ、すりむいた足の裏から血が滲み、着物の裾は草で切れてボロボロ。 何度も転んだのか手のひらにもいくらかの血がにじんでおり、土で汚れていた。
それでも、くらいくらい山の中を一心不乱に走り続け、銀時はとある場所へとたどり着いた。
重苦しい曇天。
積み重なる灰色の……骸。
漂う血の臭いと、白い靄。
「ここ……」
そこは、戦場だった。しかもつい最近まで戦争をしていたのか、血の臭いも生々しい。
しばらく呆然とたたずんでいると、どこからか骸を踏みつける足音が聞こえてきた。
反射的に銀時はその場に落ちていた、死体のものであろう刀を手に取り、構えを取る。そうしている間に靄の中から、人相の悪い1人の男が現れた。
「あぁ? なんだってこんな場所にこんな餓鬼がいやがる。おめーも物盗りか? ……まあ、いい。一応殺しとくか」
相手が子供だからか、動けないと思っているのか。刀をじっと構えたままの銀時に、わざとゆっくり自分の刀を振り下ろした。
すると。
「おま……」
銀時はそのまま……構えたまま、横一文に刀をひいた。小柄な銀時の腕の先には、あつらえたように男の腿があり……銀時の刀は振りかぶった男の腿をいとも簡単に切り裂いた。男は膝をつき、銀時を睨みつけながらなおも刀を銀時の方へと向ける。
「……」
それをいつもの冷めたような目で見やり、動けない男の背後へと回り込み、背中から男を斬った。
男はこと切れ、骸の一つとなって、血の海に倒れこむ。銀時の足はその血に染まる。ふいに、銀時は男の懐に手を入れた。そこには大きなおにぎりが包まれていて、それを無表情のまま、ほおばる。
幾日か、幾週間か。
銀時はそれから、戦場に金品目当てにやってきた盗賊を殺しては食糧を調達するようになっていた。
『あの戦場には白い鬼が出る』
その噂は人から人へと伝わり……。
あの人のもとへ……。