二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:  風の守護者とプリンと風紀、 / REBORN  ( No.28 )
日時: 2012/05/20 12:20
名前: なゆ汰 ◆TJ9qoWuqvA (ID: 6vo2Rhi6)

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 標的09 / Arrivederci!




 イタリアに来て約168時間。つまり一週間。もう隼人くんともビアンキちゃんともリストさんともアディオスです。最初来たときはうまくやってけるのかとか考えてたけど結構楽しかったと思う。
隼人くんは涙をこらえているような顔をして私を見上げている。ビアンキちゃんとはあまり遊べなかったけど、それでも何か思うことがあったのか複雑そうな顔。リストさんは相変わらず無表情だが、眉間にシワがよっている。折角のイケメンがもったいない。



「…ちとせ。行くなよ…!」
「ごめんね、はやとくん。むり。」
「!……なんでだよ…」
「簡単なことさ。わたしはジャッポネーゼだから。」



にっこり笑って言うと、隼人くんは意味がわからないというふうに眉を寄せた。だってそうだろう?隼人くん。私は日本人だ。日本に住んでいる。私の居場所は日本にしかない。イタリアには、ない。
私は隼人くんの目線にあうようにしゃがみこんだ。隼人くんと視線が交わる。



「ジャッポーネにはね、わたしのともだちがいるんだ。わがままでドSで、ほんとうムカつく!不器用で、ほんとはやさしいのにいっつも空回りしちゃう残念なヤツでさー。わらっちゃうよね。けどさ、わたしの居場所をつくってくれたのは紛れもなくアイツなんだよ。だから、わたしは帰らなきゃなんない。だってわたしはアイツの部下だからね!未来の風紀副委員長さ!」

「ふうき、ふくいいんちょー…?」

「そうさ!だからわたしは帰んなきゃね。ごめんね、はやとくん。」



隼人くんは目をうるうるさせている。ごめんね、ごめん。けどね私には雲雀恭弥という奴が待っているから。あーあ、そういえばイタリアに来る前遊びにいく約束してたんだっけなー。すっぽかしちゃったよ。咬み殺されるなコリャ。

渇いた笑みを見せれば、隼人くんは不安そうに私を見上げた。



「またすぐ会える?」
「わかんない。」
「……!」
「わたしはジャッポーネーゼで、きみはイタリアーノだ。どんなに手を伸ばしてもとどかない場所にいる。だからすぐに会えるとはわからない。けど、いつかは会える。すぐにとはいかないけど、絶対いつかは会えるから。それまで待っててくれる?」



すぐに会えるだなんて嘘をつくつもりはない。それだけ遠い場所にいる。私と隼人くんは。隼人くんは控えめに「…ん」と頷いた。私はくしゃりと隼人くんの頭を撫でると、すぐに立ち上がる。

ビアンキちゃん、リストさん、隼人くん。



「ちゃお!」



また、会おうね!


城の前に上陸したジェット機がゴオオオと音をたてる。涙はでてこない。だってお別れじゃない。私と隼人くんは少しさよならするだけだ。日本に帰った後真っ先にくるであろう恭弥くんの怒った顔を想像しながら、ジェット機内へ一歩ずつ踏み込んだ。



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イタリア旅行篇の主人公の口調を敬語じゃなくてタメ語に修正しました。流石に年下と同じくらいの歳の子に敬語はないよね、と思い…。