二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 学園アリス ♪戦慄の歌姫♪ ( No.5 )
- 日時: 2012/07/01 09:19
- 名前: 燕去 (ID: eXWZ7ycO)
Ⅱ曲目
人にはこれを持つと何かが変わるというものが何か一つはある。
私の場合は『扇子』
これは先祖代々伝わるもので14種類あるのだが初めてもった時。
まるで何年も使い込んだかのように、手にしっくりと馴染んだ。
この扇子はとても繊細なので、手入れを欠かさない。
この『扇子』を使って私が舞うのは『白拍子』
平安時代末期から鎌倉時代にあったもの。
男装した遊女や子供が今様や朗詠を歌いながら舞ったものの事をいう。
それを受け継ぎ次の世代へと受け渡していくのが花朝神社の役目。
目の前には棺に入った遺体が10体。
そして、隣の部屋には重症患者が15人。
隣の部屋からは、絶えず呻き声が聞こえてくる。
だが、いつもよりは少ない。
多いときには一日で100人を相手に舞った。
怪我をした人を相手には、1000人を相手に舞ったこともある。
災害があった時には、もっと多い。
「今日は、亡くなった人から始めよう。」
私が歌うとこの力がゆっくりとこの世。現世への迷いを断ち切り浄化。
安らかに黄泉の世界に逝ける。
つまり私は亡くなった方々が安心して黄泉の世界へと逝ける手伝いをしている…という訳だ。
亡くなった方々への礼儀を決しては忘れてはあかん。
その方々への失礼にあたるからや。
はじめに礼をしてからはじめる。
そっから全身全霊を込めて歌い舞うんや。
相当な体力がいるさかい、一般の人がやると倒れて逝ってしまうこともある危険なことや。
扇子は死をあらわす『月扇』
「遊びをせんとや 生まれけむ
戯れんとや 生まれけん
遊ぶ子供の 声聞けば
わが身さえこそ 動がるけれ」
ちっ…。ダメかよ。
今日のお客(遺体の事)、怨霊憑きまくりじゃねえか。
めんどくせ〜な〜。おい。
しゃーーねーー!!! 使いたくなかったけど未桜の歌使うか…
「君を初めてみるをりは
千代も経ぬべし姫小松
御前の池なる亀岡に
鶴こそ群れ居て遊ぶめれ」
涼の口調が変わったのがお解りだろうか??
そう。涼は扇子をもつと、歌を歌うと人が変わるのだ。
何かに憑かれたかのように。
口調が変わる=性格が変わる。という訳なので。
彼女はかなり荒れております。
はい。荒れております。(怖いです…)
「終わりました。
これで皆さん。黄泉の世界に逝けたと思います。」
「そうか。
お前が大丈夫だというのなら大丈夫やな。
じゃあ、隣の部屋も頼むで。」
「はい。
まかしてください。お父はん。
いや、父上。」
そういうと、不敵な笑みを浮かべた。
瞳の色は、漆黒から月白色に染まっていた。