二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 学園アリス ♪戦慄の歌姫♪ ( No.6 )
- 日時: 2012/07/13 17:55
- 名前: 涼 (ID: mb1uU3CQ)
Ⅲ曲目
隣の部屋に行くと様々な状態のお客(患者)がいた。
複雑・粉砕古拙、末期癌、乳癌、癌、神経・味覚・視覚・聴覚障害、くも膜下出血、自閉症などなど…。
よくもまあ、こんなにもいろんな客が集まったことだね。
知り合いは…いたわね。この子供。
確か『日向棗』とか言ったかしらね?
出血が多いけれど…って気ぃ失ってるし。
倒れるまでやったのか。大変だね。
「さあ、そろそろはじめましょうか。」
怪我人を治すには、白拍子ではなく、歌を歌う。
歌はどんな歌でも構わない。大切なのは、気持ち。心。
その時に、力を補ってくれるのが扇子。
私の大切なパートナー。
使う扇子は二種類。
《生》をあらわす『陽扇』
《季節》をあらわす『季扇』
歌うのは、春の歌。
いきものががり
『花は桜 君は美し』
早速歌いたいところだけれど、まずは季扇の力を借りよう。
陽扇を片手に持ち、一気に広げる。
すると、明るい光が一面を満たす。
もう一つ、季扇を広げる。
季扇には、春・夏・秋・冬の絵が描かれている。
朗々とした声で、祝詞を唱えた。
「我は涼。
季節の神、青竜、朱雀、白虎、玄武と契約を交わしたもの。
契約のもと、我が命じる。
求めるは
春の神、青竜!!」
そうすると、季扇が春のように温かく明るく輝いた。
その中から、蒼い光をまとった蒼い竜が舞い降りてきた。
地表に足がつくと、蒼い髪の背の高い美少年に成り代わった。
「我が名は青竜。
我の名を呼んだのは涼、そなたか?
ならば、力をかそう。」
「感謝いたします。」
さあ、歌いだそう。
「じゃあ、春だから。というか春の歌だから。
櫻と朧。曲よろしくね。」
何処からともなく、女と男の声が聞こえてきた。
櫻色の髪と瞳をもつセミロングの小柄な女、櫻。
透明の瞳と薄い緑の髪をもつ長身の男、朧。
「あたしはいいけれど…。
っていうか、いちいち変化するの面倒なんだから。」
「はーー。まったく人使いの荒い主人だな。
って、俺達人じゃねえか…。」
「んなこと、どーでもええから。さっさと準備せんかい。」
「はいはい/へいへい。」
櫻と朧は、私が式にした十二月神将のうち、二人だ。
私は、十二月神将という十二人の神将を従えている。
月が十二か月あるように、神将も十二人いる。
普段は猫に変化しているが、私が名前を呼べばどこからでも飛んで、駆けてる。
また、私がうたをうたう時に演奏してくれたりもする。
心優しいといえば心優しいのだが、性格は様々だ。
櫻は、三月の月神将で、初々しさを持っている。
朧は、四月の月神将で、揺るがない決意を持っている。
まあ、神将たちの紹介はまた追々するとして。
仕事しますか。
「涼。準備できたよ。」
「こっちもできた。」
「じゃあ、頼みますよ。お二方。
玄冬。」
櫻と朧が準備できたのを確認してから、新たな月神将の名を呼んだ。
名前は玄冬。
十月の月神将で、栗色の神と瞳を持つ小柄な男だ。
何事も落ち着いて見渡す慧眼を持っている。
「なんだ。」
「お客を守る、結界を」
返事はなかったが、応じる気配があった。
それと同時に、この道場を囲む強靭な結界が織りなされた。
治している最中に、いらないものがたまに入ってくるから用心の為だ。
そして私は一気に、『陽扇』と『季扇』を広げる。
Now.
It is tha time of a SHOW TIME
さあ、ショータイムの幕開けだ。