二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【D.Gray-man】 —ゲームオーバー— ( No.12 )
- 日時: 2012/05/10 18:13
- 名前: ユーシェ (ID: DOGZrvXb)
(続き)
2人が現場に駆けつけると、猛烈な雪煙があたりを襲った。全く視界が見えない。
遠くに人影が見えるような気もするが、どちらにせよ雪煙を晴らさなければどうにもならない状態だ。
—このままじゃあ探索班と同じで、また見失うさぁ…—
—こうなったら!—
「イノセンス発動、第二開放…天地盤回、木判!!」
ラビは、懐から素早く取り出した“鉄槌”を大きく振り上げた。
面には大きく『木』という文字が浮かび上がり、まるで地面にやきつけるように力強く叩きつけた。
その衝撃で、積もっていた雪が思いっきり弾ける。
「天地盤回、木判…?」
先ほどまで恐ろしい言葉を連発していたイロハは、ふと我に返り、技の名を復唱した。
もしかしたらまきぞいを喰らうかもしれない、と、一応身構えてはいたが…その必要は無かった。
鉄槌から巻き起こる爆風は、雪煙をあっという間に晴らしていく。
とくにダメージは受けず、イロハが頭に疑問符を浮かばせていると、ラビが簡潔に説明し始めた。
「この技は風とか雲とか…とにかく自然や天候を操作できる技で、
ダメージとかは喰らわないから大丈夫さぁ。
さぁて、居るはずなんだけどなぁ…?」
「リコル……」
ラビは鉄槌をまた懐にしまい、辺りをキョロキョロと見回す。一方イロハは頬を赤らめて下を俯いたままだ。
「あ、やっぱりそのリコルってやつに気があるさぁ!?」
—イロハはやっぱりヤンデレだったんさぁ♪—
と、言葉を口にしようとした時、イロハが物凄い形相でラビを睨んだ。そして、聞いてる人が震えるような低い声で一言。
「いつかラビも一緒に、1ミリ単位で切り裂いてあげるから」
「それっていったいどういう意味でさぁ!?……っと!
あそこにリュック背負ってつっ立ってるの、リコルってやつ?」
慌ててラビが指差した先には、相当ボロいリュックを背負っている男が2人に背をむけて立っていた。服もかなり汚れている。
「はぁ〜…苛々して大きい技出すといけねぇなぁ…
これでまた体力消耗したし?首こるし?雪煙おこるしぃ!?」
イロハの拳がわなわなと震えだす。
「まぁいつ着くかも分からない黒の教団本部に行けば、布団の中で
ぐっすり眠れんだろうなぁ…あー、早くベットで寝てぇ。
っていうかよー……
後ろから物凄い殺気が伝わってくる気がすんだが、気のせいか…!?」
だが、イロハの口から出た言葉は、その男…“リコル・ハーヴェスト”の予想とは違っていた。
「せめて、ただいまぐらい言いなさいよ……馬鹿」
「イロハ、お前…脳みそ大丈夫かってゴバッ!!」
言葉を遮って、イロハがリコルの頬をグーで殴った。
「失礼ね!リコルの馬鹿、アホ、変態、ナスビ明太子バナナ甘党…」
イロハは混乱したまま、適当に単語を並べて口にしている。目がグルグル状態だ。
一方リコルは慣れているようで、「へいへい」と適当に返事していた。
「あの…2人共」
ラビが声をかけた。その声に反応して2人が振り向く。
「俺、先に1人で帰っていいさぁ?」
北風が寂しく、ラビを撫でた。