二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第01回SS大会 ( inzm ) 投稿期間5/19〜6/2 ( No.9 )
- 日時: 2012/05/21 21:58
- 名前: さくら (ID: te9LMWl4)
「お前見てると、何処かしら元気出て来んだなー」
そう言って、晴矢君は私の頭をわしゃわしゃと撫で回した。折角髪の毛綺麗にしてきたのに、その努力も皆無だ。晴矢君に会えると思って、朝早くに起きて整えてきたのに。
ぐちゃぐちゃになった髪の毛を手櫛で整えながら頬を膨らませる。
それを見た晴矢君は、
「わりィわりィ」
と、私より丁寧に、それと何処か愛おしそうに私の髪を整えてくれた。
少し見上げた晴矢君の顔が、何時も頭から離れない。
最近沖縄に越してきたという晴矢君。そんな燃え滾る様な髪を持つ晴矢君に初めて会ったのは、極最近の事だった。
ふと飲み物が飲みたくなって、自販機に買いに行った。「おい、此処に雷門は来てねぇか?」突然聞こえた声に、振り返った衝撃で、欲しかった飲み物と別のボタンを押してしまい、私も晴矢君も目をかっ開いた。
あの後、突然驚かしてごめんって、晴矢君が奢ってくれたっけ。私ブラックコーヒー押しちゃったのに、とっても顔しかめながら飲んでくれた。
それから喋るようになって、晴矢君からサッカーを沢山教えて貰った。晴矢君はとってもサッカーが上手で、でも教えてもらう度に晴矢君にはまだ足元にも及ばないけど、私も上達してくのが分かって、その度に「上手い上手い」って何時もの様に頭をわしゃわしゃって撫でてくれるのが凄い心地よくて、大好きで。
私は知らない間に恋をしていたのだ、晴矢君に。
「そう言えばさ、どうして晴矢君は雷門中を探してたの?」
何気ない質問だった。別に、初めて会った時の事を思い出してたら何となく聞きたくなっただけ。
だけど晴矢君にはちょっとした衝撃を与えてしまったのかな、急に瞳の色を変えて、言った。
「・・・・・、いいや、お前には関係ねぇ事」
“関係ない”なんて、そんな事無いじゃないか。そんな風に言わなくても、教えてくれたって。でも関係ないという言葉が妙に威厳があって、それ以上聴き込めなかった。
だけど今度は立場が逆転、晴矢君が私に聞いてくる番だった。
「・・・お前、そういやその傷、何時付けたんだ?」
「え?・・・嗚呼、これ、」
晴矢君は、私の腕に付いた深い傷の痕に触れる。ピリッ、少し痛みがあってちょっと目を瞑った。
「あ、ごめん。痛かったか?」
「ううん。大丈夫だよ、これね、前居た学校でね、突然来た男の子に付けられた傷」
確か、エイリア学園だと言っていたっけ。私の学校を壊して、目の前に居た私が邪魔だったのか、私を思いっきり蹴飛ばして、切れた腕から血が出た私を嘲笑った、紅い男の子。
ギラギラに光る金色の瞳がとても怖かった。こんな事言うのは失礼だけど、何処か晴矢君に似てる。でも違う、外見は似てても中身は全然違う。だって晴矢君は優しくて、面白くて、とても格好良い男の子だから。
その紅い男の子が打った炎のシュートは校舎を全壊させた。私の大好きな学校、友達、皆離れ離れになって、私はこの沖縄に越してきた。逃げる様に、越してきた。
ぐだぐだ言い続けるのは嫌だけど、でも私はエイリア学園が嫌い、怖い。だから雷門の力になれるなら出来る事は絶対にする。私サッカー出来ないけど、知ってる事なら離して、そして、
「エイリア学園をやっつけて欲しいな、なんて」
「・・・・・」
それから晴矢君はずっと黙ったままだった。何を考えて居るんだろう、分からないけれど、晴矢君はサッカーがとても上手だから、雷門に加入してエイリア学園をやっつけてくれるといいな。私も大好きな、晴矢君の炎のサッカーで、怖いあの紅い男の子を、やっつけて、そして紅い男の子にサッカーは楽しいものだって教えてあげられると良いな。
その時私は、晴矢君なら絶対出来る、そう確信した。
私の大好きな、私が恋をした男の子。それは燃えるように優しい男の子。
「俺も、お前を傷つけたソイツが、エイリア学園が許せない」
本当にどんな事を考えていたのだろうか、それがまだ分からなかった私は愚かだ。
晴矢君は、酷く泣きそうな顔をしていたのに。
それから数日後、雷門が来ていたので見に行っていた時に晴矢君がエイリア学園のあの紅い男の子になる所を見てしまった私は、一日中泣き続けた。
大好きで大嫌いな晴矢君。気持ちの整理はまだつかなくて、それからずっと、晴矢君とは会わなかった。
「大好きだよ、晴矢君っ・・・、」
(( 紅色に燃え滾る少年少女の苦悩 ))
(俺の、馬鹿やろッ、)
(私、本当に馬鹿だ、)
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スレ主の私もちまちま参加しますので、宜しくお願いします。
晴矢夢。時期的には雷門イレブンが沖縄に来る前です。晴矢は少し早く来て、雷門を探してたら良い。