二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ヒロと黒影の亡霊 ☆番外編2☆ ( No.317 )
日時: 2013/03/24 17:43
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: CzRhDmzb)

第1章 ミソラタウンへやってきたミジュマル、そこで出会う青年とは?

(ストーリーモード:ミジュマル→バン)

飛ばされてから何時間くらい経っただろうか。僕は長い間、気を失っていたようだ。
目覚めると、どこかの家にいることに気づいた。1人の青年の腕の中に入っていた。
その人は、クセ毛があって気持ち良さそうに寝息を立てている。疲れているんだろうか。
僕はすかさず、翻訳機能ヘッドフォンを持って起こした。すると、眠そうに唸った後、目を覚ます。

「あ、気がついたようだね……」
「ミジュ、ミジュミ!?」
「しーっ、ここは俺んちだよ。酒飲んで帰る途中で出くわしたんだ」
「ミジュ?」
「ミジュミジュ言ってるの可愛いな、おまえ」
「ジュミ……ミジュ、ミジュマ!」
「このヘッドフォンをつけてみろって言ってんのか?」

眠そうな青年は、僕の持っていたヘッドフォンを受け取って耳につける。
すると、画面のようなものが現れたので日本語訳にして押した。

「えーと、自己紹介してなかったっけ。俺は山野バン、よろしくな」
「僕はミジュマル、よろしく!(ミジュミジュマ、ミジュマル!)」
「おっ、ポケモンが喋った!?」

バンは目を丸くして、僕を見て驚きを隠せなかった。どうやら、異世界に飛ばされてしまったようだ。
彼は僕に似て、素直で優しいから話を聞いてくれるんだろう。とりあえず、僕はバンに道具の説明をする。

「この道具は翻訳機能ヘッドフォンだよ」
「翻訳機能ヘッドフォン?」
「うん、僕の住んでた世界でアララギ博士って言う人が作ったものなんだ」
「すげぇな、ある意味で驚かされるぜ」
「日本語訳にすれば、僕の言葉が何となく分かるっていうのかな」
「ふーん。でも、ミジュマルってさ……水タイプだろ?」
「うん、そうだよ。でも、僕たちは悪いヤツによって飛ばされた」
「飛ばされたって、こっちに来たのはもしかして--------------」

バンはふと思い出したのか、何やら考え込んだ。そんな彼を見て、どういうことか分からずにいた。
ようやく、バンは僕を見て納得することができたようで優しく話しかける。

「そういえば、俺の幼馴染のところにもポケモンが飛ばされてきたって言ってたからな」
「それって--------------------------」

ポカブとツタージャだ!
あの2人も飛ばされていたということになるのか。
どうりで、2人が見当たらないのはそういうことだったんだ。

「ん、知ってるのか?」
「知ってるも何も、僕の友達……」
「ミジュマルの友達なら良いや。俺もそいつらに会ってみたいぜ」
「でも、良いの? バンは僕のこと嫌ってないよね……?」
「バーカ、なーに言ってんだ。ミジュマルは今日から俺のパートナーだからな」
「えっ、バンのパートナー?」
「ああ、一人でいるのも辛いだろ?」
「うん……」
「だから、俺んちで暮らそうぜ。まぁ、元の世界には戻らなくても済むからな」
「うん、そうだね。これからもよろしくね、バン!」
「こちらこそ、よろしくな。ミジュマル、そろそろ寝ようか」

ヘッドフォンの電池をオフにして、机の上に置く。バンの腕の中で寝るのも良いなって思った。
目を閉じて、意識はだんだん深い眠りへと誘う。この時、バンとの出会いをきっかけに巻き込まれることになろうとは想像していなかった。


翌朝、チュンチュンと雀の鳴く声が聞こえる。気持ち良さそうに寝ていた俺の頬に何か擦りつけるような音がした。
眠そうに目を開けると、ミジュマルが俺に甘えながら起こそうとしていることが伺えた。

「ミジュ、ミジュマ」
「んぁ……おはよ、何時?」

垂らしてしまった涎を拭い、机の上においてある時計を見ると午前8時ちょうど。
爆睡しちまったみたいだから、こいつを連れて行くのも気が引ける。大学でいつものように居眠りすれば良い。
そう思ったのか、俺はボーッとしながらもウトウトしてミジュマルを抱き寄せる。

「ミジュ!?」
「眠いんだよ、俺は……」
「ミジュ、ミジュミ!」

ダメだよ、起きてと言っているミジュマルのリアクションを見ていて面白く笑えたのか、転寝しそうになる。
その時、俺を呼ぶ声がして眠そうに振り返る。毛布をひっくり返して、床へと転げ落ちた。

「あでっ!」
「バン、いい加減にして起きんかい!!」
「なんだよ、もうちょっと寝かせろよ……ハル」

幼馴染の人見晴香だった。その腕の中には豚のようなポケモンが乗っている。
もしかして、ミジュマルの友達か……眠そうに起き上がり、無言でミジュマルを見つめた。

「ミジュ?」
「ミジュマル、友達か?」

ミジュマルはハルの腕に抱かれているポケモンを見て分かったらしく、嬉しそうに駆け寄る。

「ミジュミー!」
「ポカカッププ!」

ハルの腕から飛び出したポケモンを見てビックリした。このポケモンは何だと思いながらも首を傾げる。

「ポカブったら、友達と再会して喜んでるみたいね」
「ハル、おまえのところに来たのか?」
「ええ、部屋でのんびりしてたら……天井にもやもやしたようなものが現れて、その時に飛び出してきたの」
「なぁ、道具もってなかったか?」
「持ってるよ。はい、これでしょ?」

翻訳機能ヘッドフォンだった。俺の使ってる色は青、ハルの使ってる色は赤で色違いのようになっている。
うーん、ミジュマルのことをもっと知りたいけれど……知らなさ過ぎて寝てしまうのもいかがなものか。

「なぁ、こいつらを大学に連れていかね?」
「あっ、それ良いかもね」
「俺、寝てるかもしれないから起こしてほしいんだよな」
「まーたそう言って眠りこけるつもり?」
「別に良いじゃないか」

楽しそうに会話していたら、ミジュマルが声をかけてきた。

「ミジュミ?」
「大学に行くんだけど、おまえたちも来るか?」
「ポカッ!」
「ミジュ!」

どうやら、2匹のポケモンも行きたがっているようだ。そこで、ミジュマルに合うバッグを探そうかと思ったその時。
中学時代からずっと使っているバッグの中に入れば大丈夫だろう。そう思いながら、ミジュマルを手招きする。

「こっちにこい」
「ミジュ?」
「このバッグの中に入れ。あっ、横たわったままでいいよ」
「ミジュ……?」

ジューッとチャックを閉めて、しょってみた。ちょうど良い感じだ。
ハルもどうやら、スポーツバッグに入れておいたらしく2匹を隠すには絶好。

「それじゃあ、行きますか」
「ああ、そうだな……」

朝飯を食ってから出ることにした。俺はハルと一緒にトキオ大学に向かって、ミジュマルたちを連れて行った。