二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ヒロと黒影の亡霊 ☆番外編2☆ ( No.338 )
- 日時: 2013/03/23 11:36
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: CzRhDmzb)
第3章 居酒屋で起きた、嫌な出来事とは?
(ストーリーモード:バン)
翌朝、チュンチュンと雀の鳴く声が聞こえる。カーテンの隙間から太陽の光が差し込まれて、朝だと伝わる感触に浸った。
だんだん意識が戻り、気だるそうに上半身を起こして寝惚けたまま起きる。
「んー?」
腕の中にミジュマルがいる事に気づいて驚く。昨日、ハルと直紀の2人と一緒に酒を飲んで帰ったところまでは覚えている。
家に帰った後の記憶が全くないと言っていいくらい、思ったよりも爆睡していたのだろうか。それとも寝惚けて、この部屋に来たような気がする。
「朝か、だるいな……」
しょうがなく、ミジュマルと話すために翻訳機能ヘッドフォンをつける。
ミジュマルを起こして、昨日の話を聞いてみた方がいいだろう。早速、ミジュマルを優しく起こす。
「ミジュマル、起きろ」
「ミジュ……?」
眠そうに目を開けるミジュマルはボンヤリとした視界に俺の姿が映ったのを見て納得した。
どうやら、寝惚けているようではないと分かったのか……眠そうに起き上がった。
「おはよ、バン」
「ああ。おはよう、ミジュマル」
「昨日、酒飲んで帰ったでしょ?」
「うん、帰った後の記憶が全くないんだよ。俺、余計なことしてなかった?」
ミジュマルに聞いてみると、考え込むようなしぐさをして見つめていた。
その後、俺が何をしたか思い出したらしく納得して呆れつつも話してくれた。
「そういえば、バンは床に寝転がって爆睡してたよ」
「俺が玄関の床で寝てた?」
「うん、靴はちゃんと脱いであったよ。その時に寝てるバンの頬を抓って起こしたの……」
「抓った……?」
そういえば、玄関の床で気持ち良さそうに寝ていた時に誰かが俺の頬を軽く抓ったような気がする。
あれはミジュマルだったのか……どうりで痛いと思って、払いのけてしまったみたいだ。
「ああ、そういうことか」
「バン、寝過ぎだよ。寝惚けてたとはいえ、2階に行って部屋のドアの前で寝てたし」
「どうりで、俺が寝てても気づかなかったわけだ……起こしてもらったのに、本当にごめんな」
俺は申し訳なさそうにミジュマルを見て思い出したのか、心配かけたことを気にしていた。
ミジュマルが、俺を見て思い出したかのように聞きたいことがあるという。
「昨日、居酒屋で何してたの?」
「何って……別に酒を飲んでた」
「そうかな、昨日帰ってきたときにバンの頬を見たら…何か殴られたような痕があったよ」
「えっ……嘘、見られちまった?」
「うん……急にどうしたの、嫌なことでもあった?」
「別に何ともねぇよ………」
「何か隠してるよ、バン?」
「うぐっ………」
ミジュマルに突っ込まれて、思わず苦笑する。勘の良いところは母親譲りか。
ハルも気にかけてたみたいだったし、殴られたことなんて忘れてしまっていた。
さっき、ミジュマルと会話したことでやっと思い出したのか、酔っていたことを認めなくてはならなかった。
「はぁ、分かったよ……全て話すよ」
「本当に!?」
「あぁ、最後まで聞いてくれるか」
「もちろん、僕でよければ……」
「うん、実はさぁ……」
俺はミジュマルを抱えながら、ベッドの上に寝転がって話し始める。
昨夜、トキオ大学近くの居酒屋で酒を飲んでいた。俺たちはそれぞれ、好きな酒を飲んで話していることが多い。
「ハル、飲んだら寝ちゃうよな」
「バカね、バン。飲み過ぎてるのはいつものことじゃないの?」
「いつもどころか、バンは酔って寝てることが多いもんな」
ハルと直紀に突っ込まれて、思わず苦笑していた。ポカブとツタージャもいないし、ゆっくり過ごすことができた。
ただ、ミジュマルがいないのは辛い……それでも、リンたちに可愛がられて大人しくしているのだろう。
「バン、今度のLBXバトル大会に出る?」
「LBXバトル?」
「そう、ストリートレギュレーションorアンリミデッドレギュレーションによるもので行うってさ」
「へぇ、ここでやるのか?」
「いや、居酒屋でやるバトルじゃなくて……」
「つまり、ハルが言いたいのはアキハバラで行われる大会のことでしょ?」
「そう、それよ! せっかくだしさ、バンも一緒に出ようよ」
アキハバラで行われるLBXバトル大会に参加しようと意気込みを見せたハルと直紀。
なるほどね、俺は出るかどうかさえも決まっていない。2人が出るなら、俺も思いっきり参加しないとダメだ。
ハルに参加しようと言いかけたその時、背後から聞き慣れない声が聞こえてきた。
「おまえが山野バンだな?」
振り返ると、柄の悪い連中がいた。どうやら、不良グループのようだ。
不良に絡まれるなんてついてねぇし、どういうつもりだと思いたくなる。
「そうだけど、俺に何か用?」
「気にいらねーんだよ、テメェ」
「……あぁ? 俺が気に入らないってんなら、ボコボコにしてやろうか?」
「んだと、テメー!」
「売られたケンカは必ず買う主義だからな、気に入らない理由があるなら言えよ!」
俺と不良グループのリーダー格の会話を聞いていたハルと直紀は思わず苦笑した。
そいつらがいると落ち着く気がしないので、一喝させておこうかと思った。その時、リーダー格が繰り出した拳によるダメージを受ける。
「ガッ!」
「バン!?」
「大丈夫だ、ハル……いってぇな、何すんだよ」
フラフラと立ち上がり、酒が入っているせいで顔が赤いことに気づく。
リーダー格のヤツを殴りたいのはヤマヤマだが、しょうがない。そう思っていた矢先、頭に何かをかけられた。
「うわっ、冷たっ……」
よく見ると、リーダー格のポケモンが水を繰り出したらしいことが分かる。
そいつはポケモンに向かって言い放つ。
「ガマガル、水鉄砲!」
「ガマッ!」
同時に水鉄砲を浴びた俺はイラッときたのか、リーダー格の胸倉を掴んだ。
「テメェ、俺に水を浴びせといて何しやがる! ガマガルだか知らないけど、いい加減にしろよ」
「このやろォ、俺に突っかかる気か!」
その時、殴りかかられそうになった俺を守ったのは後輩の大空ヒロだった。
チコリータによって、ツルのムチで巻きついたリーダー格の腕を押さえている。
「いい加減にしてくださいよ、バンさん。チコリータ、こいつの腕を押さえて」
「チコッ♪」
「ワニノコ、こいつの腕に噛み付いて」
ヒロの幼馴染である小野奈緒美も一緒に来ていたらしく、ワニノコはリーダー格の腕に噛み付いた。
そのダメージを受けたリーダー格は思いっきり悲鳴を上げた。
「ギャーッ、いてぇー!」
チコリータとワニノコの攻撃によって、ダメージを受けた不良グループの一味は慌しく立ち去っていった。
直紀とハルはヒロたちの登場に目を見張ったが、ヒロとナオは思わず苦笑していた。
「バンさん、飲み過ぎですよ」
「うっせ、濡れちまったじゃねぇか」
「乾いたほうが良いかと思って、予備の服を買っておきましたよ」
「お、サンキューな……ヒロォ、ハックッション!」
「タオルで拭いてください」
「おお、ありがとな……」
着替えだしてから、すぐに酒を飲んだ。しょうがないから、気を紛らわすことしかできなかった。
ヒロたちもポケモンを持っていたらしく、思わず目を見張る。チコリータとワニノコは俺たちに人懐っこく挨拶してくれた。
「ワニッ!」
「チコッ!」
「へー可愛いな、俺たちのポケモンは家に置いてきちまってるんでな」
「飲み過ぎだろ、バン。ヒロたちがいたから良かったけど、僕たちを巻き込ませないでくれよ」
「そうよ、私たちも危うくなったし・・・・・・まったく、もう!」
「ごめん、調子に乗りすぎた」
俺たちの会話を聞いていたヒロとナオは思わず苦笑しつつも、顔を見合わせる。
しょうがないもんな、ヒロたちがいてくれて良かったと思っている。
「いいですよ、3人が無事で何よりです」
「そうそう、私たちのことは気にしないで下さい」
「そっか……んじゃ、気を取り直して飲み明かそうぜ!」
コップを持ちながら、笑顔で乾杯した。その後は飲み明かして、12時になるまで過ごしたのだった。