二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ヒロと黒影の亡霊 ☆番外編2☆ ( No.393 )
- 日時: 2013/03/03 14:08
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: CzRhDmzb)
第9章 ミソラタウンにやってきたライガとの出会い
(ストーリーモード:バン)
ミジュマルがミソラタウンにやってきて、少し慣れてきた。その夜、ミジュマルと一緒に歩きながら散歩していた。
たまに寄ることが多いミソラ商店街のコンビニで買った缶ビールを飲みながら、ゆっくり歩いている。
ミジュマルは俺の肩に乗ったまま、心配そうに見つめている。飲み過ぎないようにして買ったつもりだけどなぁ…。
「ミジュ…」
ミジュマルに心配されているようでは、埒があかない。飲み過ぎはいけないことだと分かっているつもりだ。
たまに幼馴染のハルに突っ込まれることも何度かあったが、今は慣れてきたし…どうでも良くなってきた。
「ミジュマル、飲み過ぎはいけないって分かってんのになぁ…」
酒を飲みながら、思わず苦笑した俺はハァーッと盛大に溜息をつく。
様子を見る限り、顔が赤くなっている…本当に飲んだだけで赤くなるとは思わなかった。
飲み過ぎだと突っ込みたくなるが、今回は大目に見てやらないとダメかもしれない。
「ミジュ、ミジュミ!」
ミジュマルは俺の頬を抓りながら、飲むのはいけないと注意する。
そのしぐさを見ていて可愛らしく思えたのか、右手で持ったまま話しかけた。
「ミジュマル、飲んじゃダメだって言いたいのかぁ?」
ちょっと飲み過ぎだと言いたいが、話しづらい。流石に突っ込む気が失せたのか、ミジュマルは肩に掴まったまま顰めた。
「…テメェ、離しやがれ!」
その瞬間、微かに声が聞こえた…声のした方向を見上げると、何かが浮かんでいた。
缶ビールを持ったまま、呆然と見つめていた俺はミジュマルと顔を見合わせる。
「なんだぁ?」
上を見てみると、見覚えのない乗り物が空に浮かんでいる。ミジュマルも呆気に取られていた。
どう見ても明らかにタイムマシンのようだ。でも、何か叫んでいる少年を見る限り、中学生くらいだろうか。
トランクに閉じ込められている少年がいたなんて…どういうことだ?
「タイムマシンなのか…。いや、こんな時間に出るなんて有り得ないけどさぁ…」
「ミジュ…」
「河川敷の方だな、あそこに行ってみるかぁ?」
ミジュマルを肩に乗せたまま、河川敷に向かって走り出す。もちろん、タイムマシンを追いかけて…。
***
少し経ってから、河川敷にやってきた。俺たちはキョロキョロと空を見上げて探す。
ミジュマルが上を見上げて、何かに気付いて指差した。その方向を見ると、例のタイムマシンが空に浮かんでいた。
「アレか…。でも、助け出さないとダメみたいだからな…」
そう言って呟いた瞬間、上の方から声がした。
「バーン、こんなところで何やってんの!?」
河川敷の上を見上げると、幼馴染のハルとポカブがいた。もちろん、直紀とツタージャも一緒だ。
階段を下りて、俺たちのところにやってきたのと同時にハルが頬を抓って怒る。
「バン、また酒飲んで! どれだけ心配したと思ってんの!?」
「いや、散歩しに行くだけだって…。飲みに行くつもりはないって…」
「飲み過ぎはダメだって…。何度言っても分かるはずないよねぇ…?」
直紀に話を振って、ハルは呆れながらもポカブを抱いたまま溜息をつく。
その様子を見ていた直紀は苦笑しながらも、俺の肩を優しく叩いて話しかける。
「ハルの言うとおりだよ。飲み過ぎは良くないぞ、バン」
「なんだよぉ、お前らまで突っ込みだしてさぁ…。そういやぁ、俺に用があってきたのかぁ?」
「用って言うか…。おい、あれって…」
直紀は、上を見上げて驚く。ハルと俺は直紀の視線を追って、上を見る。
中学生くらいの少年が空に浮かんでいた…ユンゲラーというポケモンが何か技を使って浮かせているみたいだ。
「離せっつってんだろ、このやろう!」
少年はじたばたして暴れ出す。タイムマシンの運転席に乗っていると思われる青年は冷たく言い放つ。
「ユンゲラー、そろそろ離してやれ」
そういう否や、解放されたのと同時に猛スピードで落ちていく。少年は河川敷の中に放り込まれて、川の中に入って落ちた。
タイムマシンはあっという間に消えていた…。それよりも、少年を助け出さないといけない。
「ぷぱっ…ゲボゲボッ、なんてことしやがる…Lのヤツ…。ちくしょう、絶対に許せねぇ!」
少年は俺たちの存在に気付いたのと同時にくしゃみをする。このままでは、風邪を引いてしまう。
俺は少年のところに歩み寄り、ハルと直紀はミジュマルたちと一緒に駆け寄った。
「大丈夫か?」
「はっ、はい…大丈夫です…。あの、ここはどこなんですか?」
「ここはトキオシティのミソラタウンだよ。俺たちが住んでいる世界だといったら分かる?」
「は…はい…分かります。それよりも…ペブシッ!」
くしゃみが収まらないのか、寒気が来そうだと感じた。俺はパーカーを脱いで、その少年に着せる。
ハルと直紀は心配そうに見つめていたが、ミジュマルたちは首を傾げていた。
「ところで、名前は?」
「オレはライガと言います。イッシュ地方のカノコタウンから飛ばされてきました」
「イッシュ地方…。やっぱり、ミジュマルたちがいた場所だな…」
「えっ、知ってるんですか? それより、ミジュマルたちはどこに…」
「あぁ、あいつらは俺、ハル、直紀の3人で預かって遊んでる。心配しなくてもいいから」
「無事だったんですね…。良かった、ところで名前を伺ってもいいですか?」
ライガは明るく言いながら笑う。どうやら、思ったよりも明るい性格だ。
俺は自己紹介していなかったことに気付いて、1人ずつ自己紹介することにした。
「俺は山野バン、よろしくな。ミジュマルのパートナーって言えば分かるよな」
「私は人見晴香、私のことはハルって呼んでね! こっちはポカブだよ」
「僕は船津直紀。僕のことは直紀でいいよ、これからもよろしくな。そっちはツタージャだ」
自己紹介したのと同時にミジュマルたちも声を上げて、素直に頷いた。
「ミジュ!」
「ポカッ!」
「ツタ!」
3匹とも元気そうに張り上げて笑っている。自己紹介が済ませた時点でライガは誰が引き取るか決めようということになった。
「ライガはバンの方が良さそうね。直紀はどう思う?」
「そうだな…。バンなら、年下の子の面倒を見ていることが多かったし、家に泊まらせるのもありじゃない?」
「俺んちでいいけど…。ヒロやランのこと面倒見てたくらいで言うなよ」
2人の台詞を聞いて、思わず苦笑した。直紀はツタージャを抱えて、用事があるから帰ると言って立ち去った。
ハルはまだここにいると言ってくれたので、2人でライガを連れて帰ることにしようかと思っている。
「なぁ、ライガは俺んちに連れて帰ってもいいよな」
「そうね…。私んちには光一兄さんがいるからダメだなぁ…。バンなら、きっと大丈夫よ!」
ハルはバシッと俺の背中を思い切って叩く。本当に気が強いヤツだと思いながら、顔を顰めた。
その様子を見ていたミジュマルとポカブは笑いながら、俺をからかう。ライガは俺を見て、コクリと頷く。
「バンさん、今日からお世話になります。これからもよろしくお願いします!」
「あぁ、こちらこそよろしくな!」
バンはライガの出会いを経て、次第にミジュマルたちとの絆を深めていった。
ところが、ミジュマルたちを揺るがす事件が起きようとしていることに気付いていなかった。この後、どうなってしまうのか?