二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ヒロと黒影の亡霊 ☆番外編2☆ ( No.474 )
日時: 2013/03/24 16:37
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: CzRhDmzb)

第16章の続き

(ストーリーモード:バン)

ハルの案内で例の子供部屋までやってきた。一番奥にあったらしいが、そこまで広いとは思えない。
玄関のドアは見たところ、頑丈そうに見えた。子供部屋にしては、ちょっと違うような気がする。
子供たちが開けられるドアノブのタイプは蝶番しかない。当時は何か事情があったのだろうか。

「うーん…」
『どうした、バン?』
「なぁ、ミジュマル。お前なら…何を選ぶと思う?」
『えっと…そうだなぁ、僕なら開けやすいタイプが良いな』

ミジュマルは考えあぐねていたのか、目の前に映った玄関のドアを見て答える。
やっぱり、ドアは開けやすいタイプにしてしまうのが一般的だ。それとも、ドアのタイプを変えたくなくて、そのままにした可能性もある。

「うん、ミジュマルもそう思うよな…だとしたら、このドアはそのままにしておいたんじゃないか?」
「えっ、昔に住んでいた人がそのまま設置した…ってこと?」
「んー…よく分かんないけど、このドアにしてはおかしいと思わないか?」
「うん、絶対におかしいよ。ね、ミジュマルたちもそう思う?」

ハルもその意見に納得したのか、ミジュマルたちに話を振って呟く。
ミジュマルたちもコクリと頷いたが…直紀は何やら考え込んでいて、ドアのノブを手にかけていた。

「おい、直紀?」
「中に入ってみていいか?」
「良いけど…何か気になることでもあるの?」
「ああ、ちょっとな…。ツタージャ、こっちに来て」

そう言って、直紀はツタージャを呼び寄せた。ツタージャは素直に頷いて、直紀の肩に乗った。
ミジュマルとポカブは思わず首を傾げていたが、俺とハルの言うことを聞けば大丈夫だと思ったらしい。

「直紀のヤツ、何を考えてるんだ?」
「さぁ…何か天井を見てるみたいだけど…」
「んー…しょうがないな、本棚とかは俺たちで探すか」

ポリポリと髪を掻きながら、直紀を見て思わず苦笑する。天井の方は直紀に任せておこう。
その間に本棚とかを見回して探すのもありなので、ミジュマルとポカブを連れて捜査を開始した。

「…ん?」

本棚にはいくつか古ぼけた本が並べられていて、その中にはアルバムらしきものも入っていた。
全体的に見ると、古ぼけたベッドや椅子、机が置かれていた。その3つ以外には、本棚とグローゼットもあった。
机の上に古ぼけた写真立てが置いてあったので、その写真を見た。2人の子供が笑顔を見せている。
青年になる前の写真と言うことは…もしかして、あの2人が住んでいたということになるのか?

「この2人…何かそっくりだと思わないか?」
「そっくりって…どこが?」
「例えば…ここ、顔つきとか似てない?」

左手で指差した先には、双子の少年らしき男の子。その顔を見る限り、双子と言うこともあって酷似している。
冷徹な笑いを含めたL、冷たくあしらいながらも容赦なく傷つけるR…その2人の顔を思い出せば、納得がいく。

(やっぱり、この屋敷はLとRが住んでいたということか…?)

いや、それはいくらなんでも有り得ない。信じがたいが、双子なのは間違いないと見ていいだろう。
イニシャルなのは確かだし、本名が分からなければ調べることは不可能だ。

「あっ、本当だ…確かに似てるね。でも、何かありそうじゃない?」
「ああ…これは絶対に何かあるな…。イニシャルの本名さえ分かれば良いんだけど…」

絶対に何かある…これは過去の事件との繋がりが高まってきた。せめて、少しだけでも情報収集しなければいけない。
その時、ハルが俺の肩を叩く。振り返ると、アルバムを持っているハルの姿が。

「バン、このアルバムを見てくれるかな?」
「アルバム?」

ハルが本棚から1つのアルバムを持ってきて、ミジュマルたちの視線に合わせてしゃがみ込んだ。
アルバムを開いてみると、2人の少年の名前が記されていた。本名であることが高い。
『Luke』と『Roy』の文字が書かれていたことから考えると2人の名前であることが分かる。

(『Luke』と『Roy』…これはイニシャルの本名を隠すためか?)

なぜ、2つの名前が出てきているのかも分からない。もしかして、2つの名前には何か関係あるはずだと見る。

(…まさか、あの2人の名前って--------------------------------)

『L』と『R』…この2つのイニシャルから考えて辿ると、この2人の本名である可能性が高まった。
この事実が確かなら、本当に間違いない。でも、その証拠が見つからない限りはただじゃ済まない。
しかし、10年前の事件の真相を追うのも難しい。それに関しては、奈良警部たちに聞けば分かることだ。

「うーん…『Luke』と『Roy』ねぇ…。男子の名前だということは分かるけどさ」
「やっぱり、バンもそう思ったでしょ?」
「ああ…。ちょっと、何かしっくりこないな…」
「でも、この2人の少年は青年になっているはずだよね?」
「うん、それは間違いないと思うけど…何か引っかかるんだよな」

イニシャルの文字と2つの名前にあった最初の文字は酷似している。よく考えれば、納得できたかもしれない。
このままでは、謎が深まるばかりで解くことができない。これから、どうすれば良いかと思っていたその時。

「おーい、バン! ハルもそこにいたのか!!」

直紀がツタージャと共に駆け寄って、あるものを持ってきた。

「…ん?」

その手元に何か持っていることに気付いて、よく見るとノートみたいなものだった。
古いノートのようだけど、『アイディアノート』と書かれていた。直紀はちょっと気になるものを見つけたらしい。

「あっ、『アイディアノート』…って書いてあるみたいだけど?」
「ああ。やっぱり、何か気になってきたな…後は写真に写っていたあの2人の少年だ」
「2人の少年?」
「ああ、このアルバムを見れば分かる。その写真の下に名前が記されてるぞ」

直紀にアルバムを渡すと、ミジュマルが壁に伝って調べていた。ツタージャとポカブもミジュマルの行動を見て驚く。

『ちょっと、ミジュマル!?』
『壁を触って、何するつもり?』
『2人とも黙ってろ。集中させてくれ』

ミジュマルのやる気オーラを感じたのか、ツタージャとポカブはすぐに怯んだ。
あれだけやる気を出しているってことは、自分なりに調べるということか。

「そういうところがミジュマルらしいね」
「そうだな…ったく、しょうがないヤツだな」

アルバムを見終えた直紀が戻ってきたのと同時にミジュマルが壁を触って、何かに気付いた。
どうやら、何か見つけたかと思えば…ミジュマルが眉をひそめている。

「どうした、ミジュマル?」
『この壁、ちゃんと押せるみたいだけど…うわっ!?』

ミジュマルが左手で壁に触れたのと同時に壁の扉らしきものが反転するように開いて、滑り込むようにして消えた。

「えっ、消えた!?」

目の前からミジュマルが消えたことに驚いて、驚愕した俺と直紀たちはその場に立ち竦んだ。

「ミジュマルが目の前から消えた…」
「この壁から例のトンネルに繋がっているのよ」
「まさか…壁の先に何かが隠されているということか?」

冷静に状況を把握していたハルはミジュマルが消えた壁の前に立って、分かりやすく説明する。
その仕掛けは回転ドアのようなものになっていて、その壁を押すと回転できるようになっていた。

「まさか、この子供部屋の壁に仕掛けが施されていたなんて…」
「いったい、本当にどうなっているんだ?」

直紀と俺は呆然と立ち尽くしたまま、目を見張って驚いた。いったい、どうなっているんだ?
壁に仕掛けが施されていたとは知らずにいたのだから、無理もない。その時、ハルが俺の背中を押した。

「へっ?」

バランスを崩したのと同時に左手で壁に触った瞬間…スッと何かが抜けていくような感じがした。
フワッと身体が宙に浮いたのを見て、回転ドアの中に入り込んでしまっているのではないか!

「うわぁぁぁ---------------------!」

闇の中に入り込んでいくような感じがして、フッと意識が途切れた。