二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第十二話 ( No.21 )
- 日時: 2012/06/22 21:29
- 名前: 時橋 翔也 (ID: NihAc8QE)
「くっ…!」
「兄ちゃん…」
あの日、俺が優一兄さんをけがさせてしまった日
その日から、俺は一人になった
兄さんは稲妻総合病院に移る事になり、俺は海外の両親が帰ってくるまで都市に住んでる親戚の家に住むことになった
「蓮斗兄ちゃん、久しぶり」
しばらく俺と一緒に住んだ『宮灯蓮斗』は、優しい俺の親戚で、たまに家に遊びに来ることもあった
そこで俺はシオルを宿したんだ
「ああ…うん、そうだな」
「蓮斗兄ちゃん、誰と話しているの?」
机に座りながら窓に向かって話す蓮斗兄ちゃんに俺は尋ねた
「京介、コトモノって知ってるか?」
「ううん、知らない」
「…俺の中にはさ、未来を予知出来るコトモノがいるんだ」
初め、蓮斗兄ちゃんが何を言っているのか、よくわからなかった
「俺の中にある、友達かな」
「…友達」
俺はこの単語に反応した
俺には友達がいなかった
何でかは分からないけど、いつも一人だった
「…僕にも、つくれる?」
俺は蓮斗兄ちゃんに尋ねた
「ああ、つくりたいか?」
「うん」
そうして生まれた<ミライノコ>と言う詞族のコトモノ 俺は早速そいつに名前をつけた
「…シオル」
「シオル?」
「昔飼っていた犬の名前だよ」
シオルは、俺の話し相手だった 分離意識型のコトモノだから、いつも話してた
『…京介はサッカー好きなんだな』
「うん、大好きだよ」
『へぇー』
シオルは、未来を予知出来るコトモノだった
俺が稲妻町に帰る日も、バッチリ言い当てた
けれど、何であの事は予知出来なかったんだ?
俺が稲妻町に帰ってきた次の日の事だった
「蓮斗!お前よくも…」
両親の怒鳴り声だった
そして乱暴に電話を切る音がした
「あなた…京介のコトモノを『治療』しましょう」
「そうだな」
俺は青ざめる
シオルが消えてしまう
そんなのいやだ
「嫌だ!シオルを消すなんて…」
「それがお前のためだ」
強引に連れてこられた大きな病院
「嫌だ…離せ」
最後まで俺は抵抗した
「シオルなんで?!何で予知出来なかったの?」
シオルは何も言わない
「やめて!消さないで!」
その叫びは両親に届かなかった
結局、シオルは消されてしまった
その日から、俺はまた一人になった気がした
「シオル…シオル」
どんなに呼んでも、シオルはもういない
つい最近まで楽しく話せていた友達が
意図も簡単に消えてしまった
だけど…
——————
「最近…シオルがいる気がするんだ」
「なんで?」
天馬は尋ねる
「倒れてから、シオルに似た声がするんだよ、何で殺したの?って言う声が」
その時、天馬は雨宮が言っていたことを思い出す
コトモノが帰ってきた
それはこういう事なのか
「なぁロゴ…『治療』したはずのコトモノがまた現れるってあり得るのか?」
「いや…そんな事本来ならあり得ない」
ロゴは言った
その時
窓ガラスが勢いよく割れた
「なんだ?!」
「見つけた…」
割れた窓ガラスから入ってきたのは、
あの暗殺者だった