二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第十四話 ( No.32 )
- 日時: 2012/07/03 06:54
- 名前: 時橋 翔也 (ID: NihAc8QE)
「ううっ…霧野…」
「円堂監督…」
神童と天馬はさっきからそう言って泣いていた
六人は稲妻神社に身を潜めていた
「円堂さん…霧野さん…」
由沙美までもがうずくまっていた
『…ではニュースです』
ロゴと剣城は、携帯でテレビのニュースを見ていた
『今日の午前13時頃、ホテル<イナズマイン>の一室が襲撃されました』
まさにさっきのことだ
『部屋は窓ガラスが破壊されており、八階に倒れていた十四歳少年と、屋上に倒れていた二十四歳男性は、この事件に関連性があるとして調べています』
「霧野くんと…守兄さんか」
ロゴは言った
『二人とも、意識不明の重体です』
「え?」
反応したのは、神童と天馬だった
二人はまだ生きてる?
神童はぼろぼろと涙をこぼす
「よかった…」
「安心するのはまだはやいぜ」
すると剣城は言った
「重体なんだろ?まだ命の危機は去っていないんだ」
その時、腹が鳴る大きな音がした、天馬のようだ
「……腹へった」
「まあ今日一日何も食べてないからな」
ロゴは言った
「そろそろ狩屋が来る頃かな」
天馬が言った時だった
「お待たせ〜」
狩屋がこちらにやって来た
両手には、コンビニの大きな袋を抱えている
「皆どれが良いですか?」
そう聞きながら狩屋は袋の中のパン、おにぎり、飲み物、お弁当を皆に渡していく
「いただきまーす!」
嬉しそうに天馬は言うと、もらった鮭おにぎりとハンバーグ弁当を食べ始める
皆腹が減っていたのか、早い勢いで食べていた
「………」
神童と剣城と狩屋と天馬は驚いて由沙美を見る
由沙美の前には五つの弁当とおにぎりとパンが置かれていたが、それをけろっとした顔で由沙美は平らげていく
かなり多めで買ってきてとロゴさんが言っていたのはこの為か
狩屋は一人で納得する
「……これからどうする?」
食事のあと、剣城は皆に言った
「…いいか?」
するとロゴは口を開く
「僕…あいつと話がしたい」
「あの暗殺者ですか?」
神童は訪ねる
ロゴはうなずいた
「…ロゴさん、あの人は一体何者なんですか?」
天馬は訪ねる
「…『露城希緒莉』」
つゆしろきおり?
天馬はロゴが言った人名を頭の中で呟く
「都市の方には『くるみの家』って言うコトモノの子どもの養護施設があるんだけどさ、希緒莉は昔そこに居たんだ」
「…あの人は男ですか?」
剣城は訪ねる
「いいや女だよ、…昔はおしとやかで、優しい人だった」
ロゴは左手にコトモノートを出現させる
ただしこれはロゴにしか見えない
「コトモノート百ページ、<トモヅクリ>、これが希緒莉の物語、花も石も何でも友達になろうとするコトモノだよ」
「でもあの人は…」
由沙美は口を開く
「<刃身人>じゃなかった、そもそも希緒莉はケンカを嫌っていてあんな事、絶対にしなかった」
希緒莉がくるみの家を出ていったのは、三年前の夏だった
保護者を名乗る人達が突然、希緒莉を引き取りたいと申し出てきた
「希緒莉が来たのは守兄さんが来た一年後だっけ、よく三人で遊んだよ」
「円堂監督もくるみの家出身なんですか?」
天馬は訪ねる
「そうだよ、守兄さんは都市の方のサッカーの名門高校に行ってたんだけど、その時その高校とくるみの家が近かったから、三年間だけ住むことになったんだ」
「へぇー…」
「…とにかく、僕は希緒莉と会いたい、会って、何があったのか知りたい」
ロゴは言った
「…でも、どうやって?」
狩屋は訪ねる
「それは……」
ロゴは回答に詰まる
「思った事がある」
すると剣城は言った
「<インデックス>は記録を溜め込むコトモノなんだろ?松風が溜め込んでいる記録って何なんだ?」
「…約五十年間のサッカーに関する記録だよ」
天馬は答えた
「けれど、何でやつらはサッカーの記録を消そうとするんだ?」
神童は言った
「…雇われたんじゃないかな」
ロゴは口を挟む
「<刃身人>は金さえ出せば雇えるし、その雇った人がサッカーの記録を消そうとしているんじゃないか?」
「…フィフスセクターが絡んでるかもな」
剣城は言った
フィフスセクターなら、サッカーの記録を消そうとしても不思議ではない
その時
「…うっ…」
突然、剣城は頭を抑えた
「大丈夫か?」
神童は剣城に言った
「ああ…平気」
『…ウソつき』
「え?」
天馬は声を上げる
今のは…希緒莉さんに襲われた時にもあった…
もしかすると…
そう思って、天馬は考えるのをやめた
まさか、あり得ないから