二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第三話 ( No.5 )
- 日時: 2012/06/03 23:09
- 名前: 時橋 翔也 (ID: NihAc8QE)
遠くからでもわかる、間違いなくあの少女だった
長い銀髪をツインテールにして、ワンピースを着ている
少女は髪をなびかせながらこちらを見ていた
「あの子…」
天馬は少女を見ると、ノートを持って走り出した
「松風?」
部員達は天馬をただ見ていた
天馬は少女の前までやって来る
やっぱりあの少女だ
「あ、あの…」
少女は少し戸惑った
「さっきは…本当にすいませんでした」
そして軽くお辞儀をする
「俺の方こそ…来てもらってごめん」
天馬は持ってるノートを少女に差し出した
「これ…君のでしょ?」
「あ…コトモノート…」
少女はノートを受けとる
「それ、コトモノートって言うんだ」
「うん、大事なノートなの」
よくわからない絵や文字が描かれたノートを少女は抱き締める
その時だった
「由紗美!」
少女の後ろの方から一人の少年が走ってくる
天馬よりも年上で、高校生のようだ
茶色い癖毛に赤いヘッドバンドを着けている
「ノートあったか?」
「うん、この人が持ってた」
少年は天馬を見る
「ごめん、練習の邪魔して」
天馬のユニフォームに気づいた少年は言った
「いや、大丈夫です、休み時間だったし」
天馬は言った
その時
「…っ!」
突然、少年は表情を変えた
そして少女がノートとペンを渡すと、少年はなにかを描き始めた
なんだ…?
天馬が思っていると、少年はペンを少女に返す
少年は痛そうに顔をしかめた
「大丈夫?ロゴにい」
「うん…平気…」
少年は何かを描いたノートを見る
見覚えのある、という顔をして、少年は言った
「…<インデックス>」
天馬の顔がこわばる
なんで…その名を…
「あなたコトモノだったんだ」
少女は言った
コトモノ、稲妻町では耳にしたことがない単語
それでも天馬は知っていた
「…何者、なんですか?…俺のコトモノを…知ってるって…」
休憩時間はとっくに過ぎているが、天馬は驚きのあまり気づかない
「僕らはコトモノが当たり前の町に住んでるんだ」
少年は自分の左手を押さえる
「そして僕のコトモノは、他のコトモノの『物語』を記録するコトモノなんだ」
『物語』
昔、天馬に遺言詞を学習させた人物も、そう言っていた
「君…名前は?」
少年は訪ねる
「松風天馬です」
天馬は答えた
「天馬!」
その時、神童がそう言ってこちらにやって来る
「キャプテン…」
「どうしたんだ?休憩時間はとっくに過ぎたぞ」
そう言われ、天馬ははっとなる
「すいません」
「…この人達は?」
神童は二人をみて訪ねる
「朝に部活来るときにあったんです、名前は…」
「名瀬由紗美です」
少女は言った
「僕は武藤吾郎、皆からはロゴっていわれてる」
少年は言った
「神童拓人って言います、…すいません、俺たち部活があるんで」
「こっちこそごめん、天馬くん」
「いえ…じゃあさよなら」
天馬と神童はグラウンドに戻っていった