二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D.gray-man -存在の証- ( No.16 )
日時: 2012/06/15 17:09
名前: 快李 (ID: qs8LIt7f)

         第二夜 -爆発と共に-


「酷いよルーくん...」
「...」

 名前の最後の文字が<ク>の為、よく'ルーク'と'くん'を合体して呼んでいる人が多い。

—俺の名前、ルーじゃないし。

「用は」
「昨日、診察を受けてないそうだね」
「悪い?」
「兄さん・・・診察って?」

 コムイとクロスしか知らない、ルークの秘密。その秘密の為に、毎月1度は診察を受けている。

—ルーくん、もう3ヶ月も診察に行ってないよ...

「何でもないよ。リナリーは下がってて。どうして行かないのかい?」
「...?わかったわ」
「...」

 リナリーがこの場を去った後も、ルークは黙り続けた。

「ルーくん?」
「...コムイ・リーに命令。1時間以内にこれ以上質問し続けたら罰を与える」
「ルーくん...お願いだよ」
「ただ...探してるだけさ」
「え?」

 ルークはコムイに背中を向けたあと、そう呟いた。それでも、うまくコムイの耳には聞き取れなかった。
 王冠が左右に揺れ、ドアを開けてルークは室長室を出ていった。

「...ルーくん...」

 再び部屋に戻ったルークは、灰色の机と向かい、ノートを広げて鉛筆を進めた。
 日記は、ルークの<習慣>だった。

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  【○月△日 □曜日】

 今日はコムイに質問攻めにあった。明日は、リナリーとの食事の約束をした。
 王は孤独だ。いつまでも...。王は何もかも全て支配している。そう思っている人は多々。でも違う。王は......

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 そこで鉛筆を机に置き、ベットへ身を転がした。そして、小さな声で呟く。

「王には何もない。王は...何も持っていない」

—力・権利・自由も何も...ない。

「...何だこれ」

 ルークの頬に、冷たい水が流れた。

—水漏れか?いや...雨なんて降ってない。

 <涙>を知らない王様。孤独な王様。何かを探し続ける王様。これらは全て、ルークに当てはまる。
 ドンッという爆発音と共に部屋が揺れ、棚に入っていた何百冊もの本が床へ散らばる。爆発が収まると、部屋は室長室なみに荒れていた。

—誰だ?...リナの所に行ってみるか。

 部屋を出ると、室長室に人だかりが見えた。人混みは嫌いなルークだが、嫌々ながら室長室に入っていった。

「ルーク!ちょうどよかったわ。こっちに来て」

 リナリーがルークの服の袖を引っ張った。映像に映されている背景は、教団の外にある...崖だった。