二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D.gray-man -存在の証- ( No.27 )
日時: 2012/06/15 17:11
名前: 快李 (ID: qs8LIt7f)

         第四夜 -印された日-


 ガチャッとドアが開く音と同時に、アレンの顔が見える。左腕を固定していた。流石にコムイの治療はアレンにもキツいようだ。コムイの治療は、想像するだけで気持ち悪くなる。

—来た。

「...?え...え!?」

 アレンが汗マークを浮かべながら、目を何度も擦ってはルークを見る。それを何度も繰り返していた。

「あら。ルーク?どうしたの?」
「...」
「やあルーくん。迎えに来たのかい?」

 アレンは石となって固まった。一向に動こうとしない。いや、動けないのだろうか。

「ルーク...なんですか...?本当に...」
「神田にイノセンスに傷付けられるとか雑魚だろ」
「み...見てたんですか!?だったら止めてくれてもいいじゃないですか!!」
「...じゃ」
「あ!待って下さいよ!!」

 ルークはその場を後にした。アレンはおデコに怒りマークを付けながら、その小さな背中を見送った。やがてアレン達も、暗い廊下の中へと吸い込まれていった。

「ルーク...」


 パラパラと、日記をめくる。あるページを見つけると、しばらく開いて見ていた。○月○日の記憶。

 おじいちゃんは、ずっと兄妹と仲良くしてる。孫のボクは相手してくれない。どうして?ボクが生まれちゃいけなかったから?ねえ...おじいちゃん。お父さんは...お母さんは......どこ?

—バカらしい。

 ベリッと、そのページを半分まで切った。全部切ろうと思っても、手が動こうとしない。

—ナゼ?俺はまだ探してるから?命令を実行していないから?...意味わかんね。

 ただ不敵な笑みを浮かべる。人間の最初の記憶には、きっと母と父がうつっているだろう。でもルークは違った。ルークの最も古い記憶は...

「...ん」

 明後日でこのノートは全て日記に埋め尽くされる。明日の内にノートを買わなければ、買わなかった日の分の記憶を忘れる。

「本当は会いたかったんだ」

 コンコンと音がした矢先にガチャッという音もした。部屋に入ってきたのは、アレンだった。

「誰に会いたかったんですか?」
「...別に」
「リナリーに食堂の場所を教えてもらったんです。行きませんか?」
「ああ...昼か」

—日記に夢中になってた。

「...見つかったんですか?」
「まだだよ」
「...そうですか。ボクも、気を付けるようにはしてますよ」
「手伝って欲しいって言った覚えはない」
「頼ってくれたっていいじゃないですか...」
「それに、誰かに破壊されてるかもしれない」
「あなたの父親は、そんなに早くやられる人なんですか?」
「...ちげぇよ」

—本当はわからない。父さんが強いかなんて・・・何も。