二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D.gray-man -存在の証- ( No.33 )
日時: 2012/06/16 18:38
名前: 快李 (ID: qs8LIt7f)

         第五夜 -止まらぬ血-


「え!?ルークのイノセンス知らないんですか!?」
「ええ...任務に行った事はないし、聞いても答えてくれないから」

 廊下でリナリーとアレンが話す。一緒にいたのに、リナリーはルークのイノセンスの正体を知らないようだ。

「ルークのイノセンスは、<王様ゲーム>ですよ」
「王様ゲーム?」
「はい。誰かに命令をして、その命令を時間内に服従しなかったら罰が下されるんです」
「ああ...だから兄さんも飛び起きたのね」
「...え?」
「何でもないわw」

 廊下で歩きながら話していると、ルークとバッタリ会った。下をむいていて、顔が見えない。

「ルーク?何してるんですか?」
「!...何も」

 そう言って立ち去ろうとするルークを、アレンが腕を掴んで止める。まるで何かを感じ取ったように言った。

「...何があったんですか」
「別に」
「眼を見せてください」
「...」
「ルーク!」
「アレンくん...?」

 アレンが怒鳴るので、リナリーは不思議そうに顔を覗いた。アレンは相変わらず、ルークを見たままだった。
 数分後、ルークはアレン達に顔を向けた。両眼からは血がダラダラ出ている。リナリーとアレンは少し身震いをした。

「ルーク!?その眼...」
「やっぱり...」
「救急箱持ってくるわ!」

 リナリーは駆け足でこの場を去った。ルークの血は止まらない。アレンは何も言えなかった。

「大丈夫ですか?」

 大丈夫なワケがない。そんな事はわかっていても、アレンにはこれしか言えなかった。

「いつもの事」
「...みんなには言ったんですか?」
「言わないつもりだった。でも師匠が事前にコムイにだけ言ってた」
「そうですか...他は?」
「...」

 ルークは、千年伯爵...AKUMAを作り出す魔導士が、AKUMAへ何らかの命令を下すと、血が出る。おかげでルークは血で眼が見えない。

「コムイだけ」
「ルーク!大丈夫?」

 膝に手をついて、呼吸を整えるリナリー。その後、軽い手当をして包帯をまく。両目に包帯巻くのもまた変だが。

「出来た!」
「...」
「大袈裟ですよリナリー」

 血は自然に止まる。ただ、それまでの時間はいつも違うからわからない。毎回最低一時間は流れ続ける。コムイ曰く、この前は1日中流れてたらしい。

—血なんて大した事じゃない。いつもの事だから。ただ...脳内に流れる映像がうっとうしいだけ。

「それじゃあ、私は用事があるから。アレンくん、ルークをよろしくね」
「はい」

 リナリーに手を振った後、アレンはルークと一緒に、食堂に向かった。