二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D.gray-man -存在の証- ( No.61 )
日時: 2012/06/29 18:54
名前: ラン (ID: qs8LIt7f)

         第九夜 -追いかけて-


 アレン・達が食堂に着いたとともに、ルークは食堂から出た。人混みが嫌いなのもあるし、何よりエクソシストと共にいたくない。
 もしもルークにイノセンスが触れたら、とてつもない激痛に襲われる。アクマはイノセンスに拒絶すると同様、アクマの血が流れるルークも拒絶する。
 入団して1年以上も経っているが、任務に行った事はなかった。行きたいと言っても、行かせてくれなかった。これではエクソシストの資格なんてない。
 そもそも、アクマの子がアクマを倒す自体おかしい。これは、人が人を殺すと同じことなんだ。

「...クソコムイ」

 父を見つけたいのに。任務に行かない以上、見つけられない。これじゃあ意味がないんだ。

「何だよ」

 暗い夜。唯一の光りが月の部屋に、神田はいる。そこにルークは行った。

「...任務に行きたいんだ」
「だから何だ」
「どうしたら...神田みたいに多く任務に行ける?」
「強くなればいい」
「...俺は弱いんだ」
「お前は強い」

 その言葉に、ルークは少し下げていた頭を神田に向けた。

—今...なんて......?

「神田...?」
「...」

 神田は、いつもルークに優しく接している。ルークの過去について知らないのにも関わらず。ルークがアクマの子とも知らずに。
 知ったら今の関係は壊れるのだろうか?それを恐れ、ルークは口を閉じていた。今の関係が好きだから。神田と一緒にいたいから。でも...ルークは口を開けた。

「俺...アクマの子供なんだ」
「...は?」
「アクマと人間の間に産まれたんだ。父さんはアクマで...父さんを探してるんだ」
「...」
「イノセンスに触ったら激痛が走って...だから任務に行かせてくれなくて...それで...」

—言えよ...ここまで言ったんなら...開け....口....!!

「それで...」
「...だから何だよ」
「え?」
「お前の過去なんざに興味はねぇ」

 神田らしいようで、神田らしくない。ルークは静かに微笑んだ。

—ああ...忘れてた。神田はこんな奴なんだ...。

「...ありがとう。俺...頑張るよ」
「...」

 ルークが一番心を開けるのは、神田だった。何も聞いてこない。それがルークにとって一番幸せな事だったから。
 ルークは部屋を出て、室長室に向かった。任務を貰うために。静かにドアを開けると、リナリーとアレンがいた。

「ルーク...?」
「どうしたんですか?」
「コムイ。任務...くれ」