二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: D.gray-man -存在の証- ( No.62 )
- 日時: 2012/06/29 19:12
- 名前: ラン (ID: qs8LIt7f)
第十夜 -別れがきた-
「...駄目だよ」
「何でだよ。リナとアレンがいんなら任務なんだろ」
「ルーくん。それは今度に—」
「今度今度って...いつまで言い続ける気なんだよ。何年待たせてんだよ!」
ルークはいつも、今度にと言われて待ち続けた。ずっと。でも、何年経とうが、任務に行った事はない。どうして?ねぇ...。
「...ルーくん。」
「言えばいいだろ...」
「え?」
「元帥にだって!エクソシストにだって!!俺が敵だって!!!言えばいいだろうが!!!」
初めてルークが怒鳴った。あの無口のルークが。三人唖然としてルークを見ていた。ルークは空気に耐え切れずに出ていった。
—何で黙ってんだよ。言えばいいじゃねーかよ...。
「...兄さん。どう言うこと?」
「ルーくんは...」
時をさかのぼる。ルークが生まれる前...。
「アクマ...?」
「そうだ」
レベル2のアクマは、人間に恋をした。そしてまた、人間はレベル2のアクマに恋をした。人間が妊娠したとき、人間は初めて父親になる人物の正体を知った。
「...そうなの」
「?怖く...ないのか?」
「全然。あなたはあなただもの。この子の父親よ」
そして、子は産まれた。身体は普通の人間と同じだった。でも目は...アクマの印のペンタクルだった。それでも二人は、そんなルークを可愛がった。
「パパ...?どこ行くの?」
「!!ごめんな。起こしたかい?」
「ううん。どこか痛いの?」
アクマは苦しんだ。頭を抱えて。伯爵からの命令がくだされた。いかなければ...破壊される。もう二度と会えない。愛しい我が子に...。
「すぐ帰ってくるから」
「...うん!」
それから父親は帰ってくる事はなかった。ルークは母親と二人きりで暮らし始めた。そして、買い物に行ったとき。
「ねぇママ。この王冠欲しい!」
「いいわよ。かっこいいわね。良く似合ってるわ」
「うん!」
ルークは明るい子だった。近所の人からも愛され、幸せな子だった。そんな時...ルークの母親が他界した。ずいぶん前からの病だったらしい。治療していたら治っていたのに、母は一人で我慢していた。少しでもルークといるためにと。
ルークは絶望した。そんな時...急に王冠が黒いオーラを放ち始めた。ルークは恐れ、かぶっていた王冠を地面に投げた。
「...センス」
「!?しゃべっ...た...?」
「イノセンス」
「え...?」
「強くはならぬか」