二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D.gray-man -存在の証- ( No.9 )
日時: 2012/08/01 18:08
名前: 快李 (ID: qs8LIt7f)

第一章      第一夜 -存在する者-


 ≪黒の教団≫ここは、エクソシスト達の集まる場。その中にある食堂の椅子に、一人の少年が腰を掛けていた。まだ、太陽も登らぬ朝から。

「...」

 少年の目の前には、何ものっていない皿がある。もう食べ終わったのか、少年は立ち上がり食器を片付けに行く。

「ルーク!おはよう」

 綺麗な髪をポニーテールにした少女、リナリー・リー。ご飯をトレーに載せて、笑顔で話しかけてくる。
 そして、少年の名は<ルーク・アルフォード>常に王冠をかぶっているのが特徴的だ。

「...おはよう」
「もう食べ終わっちゃったの?一緒に食べようと思ったんだけど...」

 いつもルークは一番最初に食堂へやってくる。一度も一緒に食べたことないリナリーは、出来るだけ早く来て食べようと思っていた。それでも、ルークはいつも食べ終わっている。
 リナリーが少し汗をかいていることに、ルークは気付いた。

「...明日ならいいよ」
「本当!?約束よ」

 話しかけた時よりも可愛い笑顔。リナリーにはどんな笑顔も似合う。ルークは少し目をそらした。

「...ン」
「え?」
「アレンが来ない...」
「アレン?誰?その子...」

 リナリーの言葉を無視し、その場を去る。リナリーはただ一人、静かな食堂で虚しく手を進めた。食べ終わると、ルークの後を追いかける。それでも、ルークの姿が現れる事はなかった。

——アレンの奴、そろそろ教団に来てもいいはずだ。師匠も厳しいな。

 ルークは自分の部屋のベットで寝ていた。天井を見つめた後、扉の方から誰かがノックした音が聞こえた。

「ルーク。いる?兄さんが呼んでるわ」
「...今行く」

 紛れもないリナリーの声だった。リナリーの兄は、黒の教団の<室長>だった。名は<コムイ・リー>コムイが呼ぶからにして、任務だと推測出来る。

「おいコムイ」

 コムイは爆睡していた。まだ朝の四時だから無理もないだろうが。それでも、コムイは<リナリーが結婚する>という言葉を使えば起きる。

—そんな事言えるかよ。

 しかしルークはそんな事言いたくないらしく、いつも別の方法で起こしている。<リナリーが結婚する>という方法と、ルークにしか出来ない方法・・・。

「コムイ・リーに命令。1分以内に起きろ。命令に従わなくば罰を与える」

 そうルークが口にした途端、コムイは急に大量の針を刺されたかのように飛び起きた。

「ヤメテエェエエェェエ!!それだけは!」
「...服従完了」

 ルークはそう呟いて、ため息をつく。泣きながらわめく、コムイの方に向けて。