二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 軌跡の断片をさがして、 000 ( No.23 )
- 日時: 2012/07/22 17:28
- 名前: さくら (ID: noCtoyMf)
- 参照: 赤司様まじ赤司様
「ふふっ、良く来たね。此処は世界の図書館」
“世界は大規模な図書館である”。そう誰かが呟いていた気がした。
君は、この言葉を聞いてどう思ったのだろうか。最もだと思った輩も余り意味が分からなかった輩も居るだろう。
それでは、まず私達の行動、全てが最初から決まっているとしたら。世界には過去、現在、未来がある。その時間の流れの中に複数の世界が存在しているとすれば、その時間の中に介入する事も可能になると思う。
Time Machine。これは行き過ぎた未来の科学が科学的に其の時間の中に介入し、起こした時間旅行なのでは無いだろうか。
では、私が後数秒後に猛烈に転けるとしよう。その事は、勿論私が意図的に仕組んだ訳でも無いし、勿論自然的に行われた行為である。
勿論、この時誰かが意図的に私を転ばせようと脚を掛けたとしても、これは全て運命が決まっていたと言っても可笑しくないのではないだろうか。
神様という物は仮にも人間が創り出した空想の生物なのだが、この世界を創り出した創造主が居たと仮定しよう。
地球も宇宙も、大規模な図書館の一部であり、創造主は私達一人一人の本を持っている。
自分を主人公とした本が図書館にはそれぞれ何兆冊それ以上あり、一人一人の人間を生み出す際に主人公紹介のコーナーに名前から好きな食べ物、何歳の時に何センチ身長が伸びるという事まで全て書けばまず一人の人間が誕生する。
その両親は、自分達で決めたと表では思っているが実際はその本に書いてある通りに名前を決める。生まれてきた子供もその本の通りに行動し、失敗して成長していく。
神様はその本を色々な色で彩り、何度も何度も書き直して本を完成させて行く。
私達人間は、その本と言う名の台本の中で踊らされたキャラクターに過ぎないのだ。
だがちょっくら、可笑しなことが起きる事がある。
その良い例が今から紹介する「白李サクラ」の本である。
白李の好物はバスケだ。毎時練習を欠かさなかった。それから赤司と出会い、1on1でミニゲームをする事になった。
バスケは好きで実力はあるのだが、只バスケが好きなだけでやっていた白李だし、その前に男と女の力の差というもので白李の完敗だった。
神様は何度も何度もシュートを入れられる白李に「諦める」と書いた。
だが此処にはちょっとした手違いがあった。白李は途轍もなく好きなものには途轍もなく負けず嫌いになる事だった。勿論こんな事は白李の性格の欄に加えていない。
幾ら性格で書いてあっても一つの人格。白李が生きている以上、白李の考えだけでちょっとした誤差が訪れる場合がある。
すると場面は大きく変わった。
それでも諦めなかった白李は、赤司の一瞬の隙を付いて距離を詰め、見事赤司から一点を奪い取った。この一点は白李にとって運命を大きく変えた。
白李の本に存在するちょっとした誤差でも、主人公の運命を変える程の力を持つ誤差になる。それが面白いのだ。
あの後白李の才能を見抜いた赤司は白李を帝光中バスケットボール部へと招き入れ、赤司自身が教育係となり白李に徹底的にバスケを叩き込んだ。
結果、白李は女子でありながら唯一レギュラー入りを果たし、キセキの世代と呼ばれる様にまで成長したのだ。
もしあの誤差が無かったら赤司は白李の才能を見抜けないまま、白李は成長せずに物語は終わっていただろう。
誤差はちょっとした出来事で生まれ、主人公の運命を大きく変える。
こうして、神様は何度も何度も台本を書き直し、登場人物を愛し、物語を幾つも完結させて来た。
この本に置いて、完結は死を意味する。人間誰だって死ぬのだ。この本は主人公の人生を表したものだから完結すれば続きはない。という事で死と同じ事になる。
今から始まるこの物語も、白李サクラの人生を表した白李の本を題材にした、物語である。
The basketball which Kuroko plays...