二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:     疾走少年、  [ 黒バス/長篇 ] ( No.30 )
日時: 2012/07/22 18:17
名前: さくら (ID: noCtoyMf)
参照:  赤司様まじ赤司様

04.




「・・・女の子?」

「はい。」


 あれ、女子って事はマネージャー希望?ん?でもさっき選手って言ってなかったっけ。空耳?———動揺を隠せないリコは、目の前の少女が平然と立っているのに妙に違和感を感じた。
 空耳だと思うが、でも自分の耳に狂いは無いはず。彼女は先程選手兼マネージャーと言った。どういう事だろうか、訳の分からないままOKを出すのもいけない。そう感じ取ったリコは、もう一度サクラに聞いてみることにした。


「えっと、マネージャー希望?・・・選手、なの?」

「両方です」

「ウチは新設校だから、バスケ部は男女で別れてはいないけど選手は皆男子だよ?」

「知ってます。・・・大丈夫です、中学時代もそうでした」

「中学?」

「帝光バスケットボール部一軍に所属していた白李です。白李サクラ」


 “白李”。その名前に何処か聞き覚えのあった。それに帝光バスケ部と言えばあの言わずと知れた超強豪校ではないか。リコは更なる動揺の波に打ち拉がれる。
 まずどう考えたってバスケが強いという女子の体付きでは無い。だがどうしてだろう。リコは人目で相手の能力・状態を見極める能力を持っているはずなのに、サクラに其の能力を使っても視えなかった。“何も”視えなかったのだ。ステータスから全て。モザイクが掛かったかの様に、どう目を凝らしても分からない。

 ごくり、リコはサクラを見上げると頭の筋に一本の線が通った。思い出した、もしかすると彼女はキセキの世代では無いだろうか。
 こういう噂を何度か聞いた覚えがある。“帝光に女子で在りながら男子と同等以上にプレーをし、その優れたゲームメイクやバスケセンスでレギュラー入りを果たした唯一女子でのキセキの世代が居る”。
 その際はまさか女子が、と只の噂としてしか気にしなかったが。まさか実在するとは。だが噂では有名だし、女子でキセキの世代だと言われる程の強さならもう少し強豪校に行くはず。

 黒子と言いサクラと言い、キセキの世代とは謎に満ち溢れたものだ。リコはサクラをじとりと見ながら思った。


「よし、仮入部を認めましょう。だけど、幾つか質問があるわ」

「・・・はい」

「何故もう少し早く入部届けを提出しなかったの?」

「あー、其れはえっと。私最初はバスケ諦めてたんですよね。もうバスケはしないって決めてて。だから他の高校からスカウトの話が来ても断ってて。」

「だから、誠凛に来たって?」

「最初はそのつもりでした。此処でバスケとはもう無縁に生きていこうって」

「ん?でも、ならどうして?」

「多分、あの人達の御蔭だと思いますよ。朝礼、見たんで。あれで心揺れ動いたって言うか。ははっ、バスケはしないって決めてたのに、まさかこんな簡単に動かされるとは思ってなかったです」


 其処まで聞いて、リコはサクラの瞳を見た。・・・嘘は言っていない。この目は筋金入りのバスケ馬鹿の目だ。
 サクラは、常にリコに視点を合わせながらも何処か隅でボールを奪い合う彼等を見ていたからだ。


「じゃあ、これから宜しく!」

「はいっ。リコ先輩!」

「へへっ、監督でも良いよ」



230716
急激な心変わり白李さん。