二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

  軌跡の断片をさがして、  05. ( No.33 )
日時: 2012/07/27 21:17
名前: さくら (ID: noCtoyMf)
参照: 今まで黙っててごめん。実は俺、赤司様のハサミだったんだ(バッ



05.




「サクラさん・・・。」

「・・・。テツヤ、久しぶり」

「何で、」


 戸惑いを隠せない黒子を前に、サクラは儚く微笑むが、黒子の言葉はリコの言葉で遮られた。
 黒子の横に居た火神は、初めて見る黒子の様子と何もニオわないサクラに少々疑問を抱いていた。何だこの女、とでも言う様に、サクラの強さを探り当てる様に凝視する。


「おーおー。突然の訪問者で忘れてたけど、次の練習試合海常だから」

「は」



 ×



「海常高校と練習試合!?」

「っそ!相手にとって不足なし!一年生もガンガン使っていくよ!」

「不足どころか格上じゃねーか・・」


 監督のテンションとは真逆のテンションの日向に吊られ、周りのテンションも落ちていく。
 勿論私も。ああ何てタイミングが悪いのだろう。もう少し考えて入部届け出すんだった、考えたら直ぐ実行な私の悪い癖。直ぐ直さないと。
 大体、海常高校と言ったらあいつが居る所じゃないか。


「そんなに強いんですか?」


「・・・強い。全国クラスの強豪校。IHとか普通に出てるよ」


「「「えぇっ!?」」」


行き成り入ってきて悪いが、勿論この試合は出ないだろう。
だが自分で言った一言でも彼が居るとなると震えてしまう。強くて、自分の事恰好良いと思ってるナルシで、苦手な人。


「それよりカントク。帰って来た時言ってたアレ、マジ?」

「アレ?」

「あれ火神聞いてなかった?」


 火神が聞いていなかったのも無理は無い。何故ならその間火神は、ずっとサクラの事を見ていたからである。吸い付けられる様に、強い奴とはまた少し違った、今まで嗅いだ事も無い匂い。儚い匂い。


「そう。海常は今年、“キセキの世代”の一人、黄瀬涼太を獲得した所よ」

「ええっ!?あの!?」

「しかも黄瀬ってモデルもやってるなんじゃなかった?」

「マジ!?」

「すげー!!」

「恰好良くてバスケも上手いとか酷くね!?」


 そんな面々を見て、サクラは皆黄瀬を買い被り過ぎてるとため息を付き、リコはアホ・・・。と零したのがほぼ同時だった為、二人は顔を見合わせて微笑んだ。
 だが皆の言っている所も分からなくもない。彼の長所と言えば顔とバスケしかないとサクラは更にため息をつく。

 そして何だか体育館に熱気が溢れている事に気が付いた。スポーツをしているので何時も熱気に溢れているが、それとは少し違う、熱気。


「ちょ・・・、え?何!?何でこんなギャラリー出来てんの!?」

「・・・・・・はぁ、」


 サクラ、本日3回目のため息である。黄瀬、と名前を呼べばその声に0.01秒で反応した黄瀬が途端にぱあっと顔を輝かせた。
 「サクラっち!会いに来たっスよ!」と飛び切りの悩殺笑顔で言うもんだから、それを見たギャラリーと化した女子達が顔を赤らめ、次の瞬間もの凄い形相でサクラを睨んだ。
 「ちょ、何!?あの女マジ何なの?彼女?はっ、アイツが?あんな何の変哲も無い女が黄瀬君と仲良くしてんじゃねえよ」とでも言うような形相に吃驚したサクラは思わず火神の後ろに隠れる。

 ずっとサクラを舐めとる様に観察していた火神は、サクラの突然の行動に「おいっ!?」と身体を捻らせるが、火神の服を握ってぴったりと張り付いて離れないサクラに諦めしかなかった。


「ちょ、サクラっち何で隠れるんスかー!?ってかその男誰っスか!ったく、サクラっちには俺という者が居りながら、」

「ま、待って離れるから!それ以上言わないで周りの子が怖いよ!」

「ってか、あいつ、黄瀬・・・だ、ろ・・・?」


「すんません。マジであの・・・、えーっと、てゆーか5分待って貰っていいスか?」



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