二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 花色彼女 04. ( No.47 )
- 日時: 2012/08/07 09:46
- 名前: さくら (ID: noCtoyMf)
- 参照: http://www.kakiko.cc/youtube/index.php?mode
04.
「ちょ、おまっ。黄瀬!お前篠原と別れたって本当かよ!?」
「・・・まだ、別れてないッスよ」
あれからあの噂は忽ち学年中に広まった。美里っちが流したのか、はたまた誰かが見ていたのか。だが俺にはそういう事は最早どうでも良かった。
俺と美里っちはまだ別れていない。俺がまだ了承していない。
大体なんだ、美里っちから告って来たのに、急にもう面倒なんて、何処の昼ドラだよ。人生初の失恋は、俺にとって分からない事だらけで、これからの俺を大きく変えた。
×
「ったく、何なの?涼太、私達もう別れたはずだけど」
「意味分かんないんスよ!どういう事だよ、マジ分かんねえ!もっと俺に分かるように説明してくれッス」
あれから数日。やはり納得のいかない俺は、遂に放課後、美里っちを呼び出した。
俺が美里っちを呼び出すという事を見ていたクラスメイトは、それだけ見て「何だ、まだ付き合ってんじゃん」と誤解してしまった様で。
美里っちに別れを宣告されてから数日、沢山考えた。バスケにも仕事にも勉強にも集中出来ず、只美里っちの事だけを考えていた。
それだけで、ああやっぱ俺美里っちにベタ惚れしてんだな、と思った。
だからこそ、今日はっきりさせたかったんだ。頭の悪い俺に、美里っちの口から詳しく説明して欲しかった。
そして、勿論俺に別れるつもりは無いから、寄り戻せるならそれで良い。俺の何処が駄目だったのか、分かれば治す事が出来るから。
何より、今の俺は美里っちが欲しくて堪んなかった。一度無くした玩具をまた欲しいと泣き喚く子供の様に、美里っちが必要だった。
「大体、涼太は外見が良いし注目集めるから、私も引き立つかな。と思って付き合いだしたけど、それが中々本気になっちゃって」
「・・・俺も、同じッス」
「そんな時不意に気が付いたんだよね。涼太、私に壁作ってる。」
「か、べ・・・?」
「そう、涼太は私に外見しか見せてくれなかった。私は、全部本当の心も、本当の私も全て涼太に見せているつもりだったのに、涼太は違った。確かに涼太は私を沢山愛してくれた、そりゃあもう私以上にね。それが嬉しかった、でも私は涼太に壁を作って欲しくなかった。ありのままの涼太で、お付き合いして欲しかった。」
そして最後に、「もう、恰好良いだけの涼太と付き合うのは、疲れちゃった」とだけ言い残して、ひらりと背を翻した。
やっぱり俺は頭が悪すぎる。言っている意味が分かんない。え、壁?そんなの作ってない。意味が分からない。
そんな視線を送れば、美里っちは綺麗に微笑んで俺の頬に手を添えた。
「ばいばい」
「・・・っちょ、待てって!」
咄嗟に美里っちの手を掴めば、手を振り払われ、鋭い眼光で睨まれる。
それは、先程俺に向けていた甘い視線とは真逆の、俺の、唯一美里っちの嫌いな顔。
「往生際が悪いよ、涼太。」
「俺がまだ許してない!」
「そんなの知らないよ。じゃ、新しい彼氏が待ってるから私行くね」
そして続けて聞こえた「ばいばい、涼太」が俺と美里っちの別れを告げた。
04:{ ロイヤルブルーのピアスはジュリエットの恋人 }
240807
久しぶりに更新。マーチング終わったぜ!