二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Aiternative song 01. ( No.22 )
- 日時: 2012/07/22 18:07
- 名前: さくら (ID: noCtoyMf)
- 参照: 赤司様まじ赤司様
01.
「別れよ。———涼太、」
確かに俺達は愛し合っていたはずなのに。
それだけを言い残してこの場を去った綺麗な金髪を見ながら俺は其処に立ち尽くしていた。
目の前の状況について行けない。頭の回転が元々早くない俺は、生まれて初めて経験した失恋という単語に耳を澄ませていた。
突然の彼女からの別れ話。勿論納得いってない、なのに俺は無知過ぎて言葉を零す事も出来なかった。
01:{ 泣くドロシーの空色のカサブランカ }/黄瀬
抑も彼女と初めて会ったのは入学して直ぐの放課後だった。俺は入部届けも出し、今日から部活三昧部活一筋だー!と意気込んで早速部活へ行こうと教室を出た瞬間、隣のクラスの女子に呼び止められた。
「黄瀬、涼太君だよね・・・?」
こういう状況に不慣れな訳じゃない。寧ろまたかと飽きる程慣れている位だ。だから体育館裏に呼び出された俺は一瞬で今から何が起きるのか察しが付いた。告白、である。
じりじりと壁際に追い詰められる俺。否この状況逆じゃないか?男なら追い詰める側に居るはずなのに。何で俺追い詰められてるッスか!?
全く、後ろの体育館では一足早くバスケ部の練習が始まっていると言うのに。こんなの先輩にでも見られたりしたら俺袋叩きにされてしまう。
「突然だけど、私と、付き合ってくれないかな?」
そんな俺の気も知らずに目の前の女の子は話を進める。せめて場所を考えて欲しかった。否、終わってから直ぐ部活に行けるようにって事で此処にしたのかもしれないスけど。
だが目の前の女の子の美しさには息を呑んだ。結構化粧はナチュラルだけど、元々パーツが良いからか年上のお姉さんに見える。
俺はモデルをやっているから数々の美人の女優やモデルと顔を合わせてきたが、此の娘はスタイルも顔も良い。雰囲気や少しアレンジされた制服を見ると、女子の中でも中心的人物になると思う。
彼女は欲しいと思ってたし、結構可愛いから俺はこの告白を呑む事にした。
「・・・良いよ。えっと、名前は、」
「篠原美里。美里って呼んで、涼太」
「・・・・・宜しくっス、美里さん」
×
あれから数日が経ち、俺達の噂は忽ち学校中に広まった。美男美女カップルというタグ付きで。そしてその噂が広まってから俺達に注目する生徒は増えたものの、俺に告白してくる女子が減った。告白してくる女子が減ったのは有難い事だ。振られる女子の事を考えると申し訳ないし、第一相手は本気な訳でバスケに集中したかった俺の良いカモフラージュになった。
そして初めは俺だって美里っちの事が恋愛対象として見れて居なかった。美里っちは少し性格がきつい所もあった。普通に苛めはするしヤケに女子力が高過ぎて、常に完璧な自分を作り上げていた。
だから居心地が悪いと感じた時もあったが、俺は次第にそんな美里っちに惹かれていった。美里っちだって案外積極的で、人前でキスを強請ったり、深い方のキスもその先も美里とは経験してきた。
そして日を重ねていく内に、ますます俺は美里っちに惚れ込んで行ったのだ。
「黄瀬さあ、ファン絶対減ったんじゃね?」
「何言うっスか。でも美里っち愛してるッスからそれも仕方がないッスねえ」
「だからお前等はバカップルなのだよ」
「ちょ、その喋り方何かデジャウ゛っス!」
そんな幸せな日々を送っていたはず、なのに。
240722
黄瀬中編多分10話位で完結。