二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 花色彼女* 02. ( No.31 )
- 日時: 2012/07/24 18:39
- 名前: さくら (ID: noCtoyMf)
- 参照: 今まで黙っててごめん。実は俺、赤司様のハサミだったんだ(バッ
02.
時遡る事、桜の季節。
校則が厳しかった所為で十分にアレンジされていなかったダサいセーラー服をハンガーに掛け、隣の落ち着いた色のブレザーを手にとった。
そのまま腕を通すと真新しい制服の匂いが鼻を霞める。ああそうだ、中学に入学する時もこんな匂いでこんな気持ちがしてたな。
今日は、待ちに待った海常高校の入学式である。高校では数々の青春をしたいと思う。中学時叶わなかった彼氏を持ち、部活に入って勉強も頑張って。遊ぶ時は遊びまくって。そんな生活を頭に浮かべ、不意ににやけてしまう。
「おっと。こんな緩みきった頬じゃダメだ」
ぺちぺちと頬を叩き、改めてこれから待ち受ける素晴らしい青春ライフに胸を膨らませた。膨らませる胸なんて無いけど!
待ってろよ海常高校!薔薇色の高校ライフを期待して、準備が整った私は家を出たのだった。
「行ってきまーす!」
×
元々其処まで頭が良くなかった私は、滑り止めで海常に入学した。受験では完璧に落ちて居た私は、内申点が良かったせいでギリギリ入学できた。真面目に頑張ってきたあの3年間は、無駄ではなかったようだ。
期待に胸を躍らせて居ると、あっという間に正門の前に立っていた。横を通って行く他の生徒が邪魔そうに此方を見て通って行く。あ、御免なさい邪魔ですか。
海常高校の校門を通って足を進めると直ぐ、周りに異変が起き始めた。何やら先を行っていた女子生徒やら男子生徒やらが挙って私の方を見てこそこそと話している。え、何!?そして更に、よく見ると女子には顔を赤らめるものもおり、男子は皆して此方を見て「おー!」と感心の色を帯びていた。
え、私か!?私なんかしたか!?そ、そうかもしかして私この高校の中でアイドルだったりして!?え、見た目も中身も冴えないこの私が!?でも現実は私が思っているのと全然違うのだよ。これはまさかの私に向ける憧れの羨望なのではないだろうか・・・!
だが此処で私が真顔スルーすれば株も下がる。此処は笑顔で挨拶、手を振って、最低限でもお淑やかに・・・。
「み、皆さんごきげんよう。おほほほほ」
見事にスルーされてしまった。近くに居た、此方を見ていたであろう女子達が、一瞬だけ私を見てまた視線を戻す。こ、こいつら今の見なかった事にしたな・・・!
くっそう。だが視線は今でも私だ。先程と変わらない眼差し。
ああ、先程のは聞こえていなかったのか!
それなら納得行ける。私は改めて挨拶しようと足を止めた。髪を耳にかけ、お嬢様な笑顔でもう一度、にこりと笑う。
「ごきげんよう、皆様。き、今日は清々しい朝ですわね!」
「———やっぱ見てよ。あれ黄瀬君じゃん!モデルのー!」
「やっぱ本当!?あああ近くで見るとますますイケメン!」
「あああ今直ぐこの腕で抱きしめたいっ!ああっ、なんて恰好良いの!抱いてー!」
此処はツッコミ所が多すぎてツッコミが追いつかない!
黄瀬君っ?誰だよwプリ●ュアかっての。私今回も見事にスルーされたよね!もう荒ぶってしまってどうしようもないわ。どうしましょう。
そう言えば私、かなり恥ずかしくないか?こんな私を惨めな気持ちにしたのは何処のどいつだと言う事と、周りが余り噂するからの好奇心で、反射的に振り向いて言葉を失った。
輝ける綺麗な金髪の絹髪、長い睫毛に切れ長の瞳。顔つきはとても端正でため息が出てしまう程。背も高く、スラっと伸びた四股に付いた無駄の無い筋肉は、彼が運動も出来ると言う事を物語っていた。
私は今まで生きてきた中の15年間、これ程までのイケメンを見た事がない。そう言えば女子達はモデルと言っていた。そうか、背も高いし彼はモデルをやっているのか。
今は何というか、自分が惨めな気持ちになった事などどうでも良く、只彼と同じ世代に生まれて来れた事が凄く誇りに思えた。
×
一目惚れ、とでも言うのだろうか。今までに恋は何度もして来たが周りに顔が良い子がわんさか居た中学では彼氏を持つ事など叶わなかった。
「はあー。黄瀬君恰好良いー」
「そうだね。ほら、今月号の黄瀬君の載ってる雑誌。」
「う、うわああああ、ま、眩しい!」
そして運が良い事に同じクラスだと言う事が分かった。私は飛び上がる様な気持ちで同中で仲が良かった友達と盛り上がる。
だがその舞い上がりもその場だけで終わった。クラスに入った瞬間、黄瀬君は忽ち生徒に囲まれ人気者となった。モデルの他にバスケが上手い黄瀬君は「キセキの世代」の一人と呼ばれているらしく、クラスの男子からも羨望の声が聞こえる。
私はあの輪に入って行く勇気も無く、少し離れた自分の席から友達と黄瀬君を眺めているだけ。ちゅーちゅーと苺牛乳を飲みながら笑顔を振り向く黄瀬君は本当に天使だと思う。可愛い、恰好良い、本当王子様。
×
だが私の恋は、一目惚れして一週間足らずで粉砕した。
要は失恋だ。私達の王子様であった黄瀬君は、同じ学年の女子と登下校をしているのを目撃してしまった。
しかも相手は、同じ学年でも美人で有名なお姫様。違う雰囲気を醸し出す、えっと・・・、篠原さん、だっけ・・・?
違うクラスだがその美貌は留まる事を知らない様で、人目見た時同性の私でもトキめいてしまった。黄瀬君のブロンドに似た金茶髪のふわふわした絹髪。睫毛は長く瞳が綺麗な桃色。とても可愛かった。それはもうお姫様と言われる程に。
特に相手が黄瀬君みたいな王子様だから、傍から見ればおとぎ話でも聞いているんじゃないかと言う程の美男美女カップルだった。
私みたいな平凡少女が入る隙間なんて、一ミリも無かった。
02:{ メリルローズは太陽色のキャラメルでお別れ }/白李
240724
何かサクラの過去編になってしまった。
過去編は次回まで続きます。あああ高尾連載書きたいー。