二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D・Gray-man 〜涙のメロディ〜  コメ、プリーズ!! ( No.201 )
日時: 2012/08/19 16:25
名前: 月那 ◆7/bnMvF7u2 (ID: IsQerC0t)
参照: http://ameblo.jp/allen-riyunkio-exoricist/

   第10粒「ん? 修理」


 「はい、どーもぉ。科学班室長のコムイ・リーです!」

 コムイはなぜか、右手でメガネを上げ左手にマグカップを持ってそして明るい口調で言った。

 あたしとリナリーとアレン、コムイは階段を下りていく。その途中に見える太い管の束やコンピューターがたくさんあるところ。そこは研究室(ラボ)だ。そして科学班のみんながいる。

 「歓迎するよ、アレンくん。いやー、さっきは大変だったね〜」

 そんなコムイのセリフに、(あたしも含め)科学班一同は「(誰のせいだ・・・!!)」と思った。

 
   * * * * * 


 そして手術室。

 「じゃ、腕診せてくれるかな」

 手術台や照明のある個室で、コムイはイスを用意しながら言う。

 「え?」

 「さっき、神田くんに襲われた時、武器を損傷したでしょ」

 コムイは何もかも見透かしているように、

 「我慢しなくていいよ」

 アレンは袖をめくり、手術台に左腕をのせる。すると、現れたのは、血のように真っ赤な腕と、手の甲に埋め込まれたクロス。これがアレンの対アクマ武器らしい。

 その左腕には、神田に襲われたときの深い傷があった。腕はビリビリと震え、麻痺している。

 コムイは、ふむ、と言うと、

 「神経が侵されてるね。やっぱり。リナリー、麻酔持ってきて」

 「発動、できる?」

 とあたしが聞くと、アレンは「あ、はい」と言い、

 「(発動!)」

 ヴンと、左腕が巨大な白い腕———対アクマ武器へと変化した。神田が付けた傷もバッチリある。

 「ふむ」

 とコムイは言い、コンコンと対アクマ武器を叩きながら、コーヒーを飲む。

 「キミは、寄生型だね!」

 「寄生・・・型?」

 「うん。人体を武器化する適合者のこと。数ある対アクマ武器の中で最も珍しい型だよ」

 ———ジャカッ

 「寄生型の適合者は肉体が武器と同調(シンクロ)してる分、その影響を受けやすいんだよね」

 「その装備はなんですか?」

 コムイはヘルメットを被り、両手にドリルを構えながら、軽く言った。

 「ん? 修理」

 そして

 「ちょっとショッキングだから、トラウマになりたくなかったら見ない方がいいよ」

 ドリルの先がギラリと光る。「待っ、待って・・・」とアレンは言っていたようだが、もう遅い。

 「GO♪」

 「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 ———ギリゴリぶちガゴドブブッドッドッドッ・・・などと意味の分からない音を立てながら修理(?)は進んでいく。

 ちなみにあたしは耳を塞いで後ろを向いている。そう、トラウマになったから・・・。1回だけ『修理』をされて、「二度と壊すもんか」と心に誓いを立て、それ以来壊していない。いや、絶対に壊さない。

 「コムイ兄さん。この後、あそこに行くんでしょ? アレンくん、一応人間かどうか検査しなくていいの?」

 「ん? いいよいいよ。人間だから」

 リナリーの問いにコムイはさらりと言う。

 「どうして?」

 「サクラくんがアレンくんは人間だって言ったし。それに・・・」

 コムイは今までにない顔つきで言った。

 「この世界で呪いなんて受ける種族は人間だけだからだよ」


   * * * * *


 「コムイ」

 「ん? なんだい、サクラくん」

 あそこ———ヘブラスカの間に行こうとするコムイを呼び止める。

 「・・・アレン、ヘブラスカの間に行くんでしょ。さすがにあたしまで・・・・・・・・・ついて行かなくて、いいよね?」

 あたしの声は震えていた。あそこにはいい思い出がない。だから、あまり行きたくない。いや、近づきたくない。あたしの様子から察してくれたコムイは、

 「・・・うん、いいよ。じゃあ、あとでその内容は知らせるから」

 内容とは、武器———いや、イノセンスとのシンクロ率や、・・・・・・予言のことだろう。

 去っていくコムイの足音を聞きながら、あたしはその場にうずくまった。

 『紅の———』

 ヘブラスカの予言が耳に響く。

 入団したときに言われたあの、予言(ことば)。あの予言が行われることは、・・・あっては、ならない。

 「・・・・・・・・・リ・・・師、匠———」

 消えそうな声で呼んでみた。でも、届かない。

 あたしは膝を抱え、みんなに聞こえないように、そっと声を漏らして泣いた。   


  〆 7月27日