二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: D・Gray-man 〜涙のメロディ〜 こめんと募集中! ( No.237 )
- 日時: 2012/08/19 16:07
- 名前: 月那 ◆7/bnMvF7u2 (ID: IsQerC0t)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
第13粒「笑顔の花を咲かせよう」
「・・・・・・・・・・・・」
アレンはずっと黙って話を聞いている。それから話を続ける。
『お前は、大事な者を破滅へと導き、深淵の底へと落としていくだろう・・・』
それはつまり、
「”お前は大切な人を死に追いやる“ってことなんだよ・・・」
———ポタッ、ポタポタ・・・・・・。
「あ、れ・・・・・・?」
なんだろ。なんで涙なんか出てくんのかな。自分から話し出したのに・・・。
口が勝手に開く。次の言葉を紡ぎ出す。
「・・・ッでね、それから少し、たったあとに、・・・一人死んでしまったの」
「・・・・・・!!」
その言葉にはアレンも驚愕の表情を浮かべた。そして口を開く。その声は震えているようにも聞こえた。
「・・・誰、なんですか? その人・・・」
「・・・あたしの師匠。恩人でもあった。そして———」
目を閉じればすぐに笑顔の浮かぶ、優しかったあの人は
「———母のような存在だった」
あの人が笑っているときが一番好きだったし、あたしもそれを見ると自然と笑顔になれた。
その人の名前は、リールイズ・ミゼリコルド。任務中にあたしを庇ったせいで死んだの。
「・・・でもそれは、サクラのせいじゃないはずです」
『ほら、泣かないの。アンタのせいじゃないんだから』
アレンの言葉が、あの人が死ぬ前に行った言葉と重なる。
「リズ・・・リールイズ師匠もそう言ってくれた。・・・けどッ!」
あたしのせいじゃないかと思ってしまう。
「誰かが死ぬ度に思ってしまう」
例えば、少しだけおしゃべりしたことのある仲の良いファインダーが死んでしまったとき。
「あたしと関わったから死んでしまったんじゃないか、って!」
そして、いつも思う。
「なんで・・・ッ」
なんであたし———いや、私は・・・
「生まれてきたんだろう、って・・・!!」
———神様、なぜ私は生まレてキタのデシょウ・・・?
———コツン。
頭を軽く叩かれた。見るとアレンが泣きそうな顔をしていた。
「僕も、昔大切な人———父をアクマにしました」
「・・・そう、なの?」
「はい。でも、キミは違う。死んだ理由を自分のせいにしちゃダメです。じゃないとのその人の人生は」
「キミのモノになってしまう」
「その人の人生はそのひとのモノです。他人の死を自分のせいにしちゃダメです」
その時、
雫が、頬を伝った。
「そう、・・・だね」
そしてアレンにもたれかかる。
「え、サ、サク———」
「ゴメン。ちょっと時間ちょうだい。雨が止むまで」
「でも雨なんて・・・」
「すぐに、・・・止むからさ」
「・・・はい。分かりました。止むまで、いくらでも待ちますよ」
「ありがと」
そう、小声で呟いた。
———ポタ、ポタと雫が落ちる。それはまるで雨みたいに。
「うっ、うううっっ・・・・・・」
大量に落ちてくる。やだなあ、大雨じゃんか。止むまでもう少し時間がかかりそうだ。
「ううっ、うっうう・・・・・・・・・」
部屋まではあと少し。でも着くにはもうちょっと、かかりそう。
さようなら、リズ師匠。
師として。恩人として。そして、・・・母として。あなたは最高の人でした。
あなたと出会えたことを神に、否。あなたに感謝します。ありがとう。
あなたとの思い出の日々、忘れることはないでしょう。
あなたのおかげで私の人生にたくさんの笑顔の花が咲きました。
〆 8月19日