二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 最初で……第17話 目的 ( No.49 )
日時: 2012/06/29 21:52
名前: 杞憂 (ID: AUaokgCu)

障子を開けると、外の冷気が衣を通して
じーんと身に染みた。
不意に外の景色が見たくなって
顔を出したまま、あたしはじっと白い雪を被っている
中庭を見た。
少し溶けて水を含んでいるが、朝見たときと
対して変わらない景色がそこには広がっていた。
深く息をつけば広がる白い吐息。
まだらになっている雲の薄い部分から差した日の光が
白銀の世界を赤く染めた。
黄色混じりの赤だったが、つーんと鼻の奥から
鉄臭い、あの赤い液体の匂いがしたような気がした。


目の前に入るのは単色が元になっている世界。
視界からの情報が簡素なものなので、
普段よりは頭がよく回るだろう。


あたしが手に入れた情報は2つ。
一つ目は新撰組幹部の名前。
二つ目は綱道さんの研究所が炎上し、
そのまま彼は、行方不明になっているということだ。

(一つ目の情報はありがた迷惑のようなものだけどね。)
心の中で、皮肉たっぷりに苦笑しながら
あたしは思考の整理を進める。

話によると、
彼ら新撰組も、綱道を探してはいるらしいが
全く手掛かりが掴めていない、とのことだ。
まぁ少なくとも綱道と接点があることはわかったのは
充分な収穫だろう。

……確実ではないが一つあたしの中に
根拠も証拠もない仮定がたっている




もしかしたら、新撰組は
羅刹の生産所じゃないのだろうか。
昨夜殺した羅刹二人。
その二人が着ていた袴は新撰組の物。
それに羅刹の話になった途端
急に強ばるここの者の表情。
それから察するに
あくまで予想ではあるが、
その類いであるのに間違いはないような気がする。

…だとしたら、
ここは早めに潰しておくべきだろう。




日の光りが赤く染まった頃
どこか遠くから廊下を歩く足音が聞こえる。
その音は時が増すほど近づいて来た。
角を曲がって姿を現したのは
井上さんだった。

きっとあたしを呼びにきたのだろう。
その予感は的中し、
ほんの少し開けていた障子の隙間が
ゆっくり広がっていった。

「長い時間待たせてしまって申し訳ないね。
ちょっと来てもらえるかな?」
微笑み、
あたしを見ながらそう言った井上さんに
従おうと立ち上がった。
「はい。」
短く返事をして、部屋の外に出た。
「ほら、総司もだよ。」
そう言ってきた彼に沖田総司は
立ち上がりながら言った。
「どうなるか決まったんですか?」
うっすら顔に笑みを浮かべながら
そう言った彼に井上さんは答える。
「まぁ…そんなに
心配しなくても大丈夫だと思うよ。」
沖田総司への返事なのだろうが
横目でちらっとあたしを見た井上さんは
気を使っているのが
すぐにわかった。

自分的には…上手く潜り込めると
思っているが
新撰組の秘密であろう羅刹の姿を見、
その上それが何かを知っているとなれば
ただではすまないだろう。
それにあたしは人斬り。
もしかしたら処刑、
なんてこともかもしれない。

あたしはまだ死ぬこと訳にはいかない。
この世から
羅刹が一人残らず消えるまで
あたしは殺し続けなければならない。

それがあたしの責任だ。

そう思いながら
薄暗くなり始めている中庭をのぞむ廊下を
ただ黙々と歩いた。







あとがきーーーー
今回はすくないですね(--;)
まぁ今度から一話分はこれぐらいにしようかな
なんて思ってます(*^^*)

長かったら
書くのも読むのも大変ですしね(^o^)/

まぁあくまで願望だから
実際どうなるかは分かりません。