二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 最初で……第5話 不完全 ( No.9 )
日時: 2012/06/11 23:33
名前: 杞憂 (ID: 4dKRj7K1)

温かい……


あたしの腕の中で小刻みに震える華奢な体から
伝わってくる体温。


今、あたしの髪は小麦色で
目は茶色という元々の色に戻っている。

だけどあれだけのことがあった後だ。
温室育ちの千鶴には、
刺激が強すぎたのかもしれない。


段々と大きくなっていく震え。

きっとあたしを怖がっているのだろう。

羅刹の姿をしていたあたしを。




「大丈夫。」
そう言うとビクンッと
千鶴の体が跳ねた。

「怖くないよ。」
背中をゆっくりと擦ってやる。
まるで泣く子をあやすように。
優しく、安心させるように。



すると突然ガクンッと、千鶴の体から力が抜けた。


「!」

千鶴の顔を覗く。
どうやら意識が飛んだようだ。


ふぅッとあたしは息を吐く。
安堵や嬉しさ、戸惑いに後悔、
それを吐き出すように長く、深く。

"血染めの化け物"
その異名の通り、あたしは化け物になれたと
思っていた。

だけど千鶴のことになると
あたしの人間らしい所が息を吹き返す。

千鶴はあたしにとって
恩人であり
友達であり
妹のような存在。

でも
どうやら千鶴はあたしに気づいてないようだ。



………それでいい
千鶴は何も知らない方がいい。
知ったら知ったで
千鶴はあたしのために
泣いて
怒って
同情してくれるだろう。

それだけは嫌だった。

もし、そんなことをされたら
いくら千鶴といえど、
あたしは殺めてしまうだろう。




あたしは千鶴を起こさないように慎重に
壁に寄っ掛からせた。

静かに息をする千鶴。

「すぐ終わるから…」








あたしは刀を鞘から抜いた。








あとがき−ーーー
ごめんなさいm(__)m
今回こそは出すつもりだったんですけど
書いてみると、長くなってしまって(・・;)

次は絶対でます!!!
痺れをきらしている方、
もう少々お待ちを…(((・・;)