二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナクロ〜なくしたくない物〜オリキャラ募集中&800越え ( No.125 )
- 日時: 2012/09/14 20:31
- 名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: ftamISp/)
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☆番外編☆第十二話 「メロンのあめ」
「ご、ごめんなさい、なんか……。でも、原因はパパであって、ママじゃないので、ママがお仕事から帰るってことになったら、風花も帰りますから、だから……。」
「いいのよ、風花ちゃん。遠慮しないで。」
「で、でも……。」
風花はなにかいいかけたが、これ以上いうと逆に迷惑かもしれなかったので、じっと黙った。輝の母はにこっとわらい、友撫に手をのばし、あたまをなでなで。
「可愛いわねえ、風花ちゃんの妹。お名まえは?」
「友撫ちゃんっていうんです。事故でパパとママが死んじゃったから、風花の家にきたんです。」
「あらまあ……。こんな小さいのにねえ。ってことは、風花ちゃんは、りっぱなおねえちゃんってことね。」
「はい。えへへー。」
「ふーちゃん、ママ、ただいまーっ。」
「あっ、お帰り、輝ちゃん。」
「輝、お帰りなさい。」
風花と輝の母は、輝の帰りを知り、玄関にいった。玄関につくと、輝がはしゃいだような顔で、風花を見ている。
「ふーちゃん、遊ぼ!」
「いいよ。風花も遊びたかったんだ〜♪」
「ふふふ……ふたりとも、仲よしさんね。」
「あっ、そうだ。ふーちゃんの赤ちゃん、さわりたいなあ。」
「風花の赤ちゃんじゃないけどね。いいよ。きて、きてっ。」
ふたりが友撫のもとにくると、友撫は輝に興味津々。さすが友撫。輝の髪の毛を、思いきりひっぱりはじめる。
「い、いたたたたっ。」
「ちょっと友撫ちゃんっ。だめだよっ。」
「あうー♪」
「いたた……でも、友撫ちゃん、すっごく楽しそうだね。にこにこだよ……。」
「まぶしいにっこにこのお日さまだね。」
ふたりが話してると、インターフォンが鳴った。輝の母が立ち上がり、むかえにでる。風花と輝は、こくっと首をかしげた。
「だれだろね、輝。」
「さあ? でも、ママの知りあいかも。」
「風花、友撫!」
玄関からとびだしてきたのは、なんと風花の母。すごく真剣な表情で、ふたりを見た瞬間、目になみだをためた。
「風花、友撫っ……! もう、心配したんだからっ。」
「ごめんなさい、ママ……っ。ううっ、うううっ……!」
風花が泣きかけたとき、母が風花をだきしめた。
「パパが原因なんでしょう。ごめんなさい、あなたと友撫だけにして。なにかんがえていたのかしら。ごめんなさい。」
「ママは悪くないもん。風花が、きっとなにかしちゃったんだよぅ……。」
「ちがうわよ。ママ、声優さんのお仕事、なるべくオフにして、家にいるようにするわ。」
「よかったね、風花。お母さんが一緒にいてくれるって。」
「うんっ。」
風花の目には、うれしさのなみだがわいていた。
しかし、すこしだけ不安を感じていた、風花の胸の中だった。
☆
「輝、おはよー!」
「あっ、ふーちゃん! おはよう。なんか、やけにうれしそうだね。」
数日後の朝。幼稚園にきた輝に、風花はにこにこのえがおで走ってきた。手をうしろにかくして、下から目線……いや、上目遣いで見ながらいった。風花の身長的に、上目遣いになってしまうのだ。
「輝に問題でーす。この手の中にあるのは、いったいなんでしょう?」
「えー……。なんだろう。うーん……おいしいもの?」
「ピンポーン! はい、これ。」
風花は輝に、青い水玉模様の包装紙で、つつまれたものをわたした。中心にあるのは丸い形をしている。
「なに、これ?」
「食べてみれば、すぐわかるよ。」
「……わ、わかった。」
輝は包装紙を、おそるおそるあける。うすい緑色(フェイの髪の毛の色みたいな)をした丸いものが、すがたをあらわす。
輝は勇気をふりしぼって、丸いものを口にほうりこんだ。ふんわりひろがる、あまい味。コロコロ舌の上で転がすと、味がはっきりわかった。
「これって……メロン?」
「うん。メロン味のあめなんだ。おいしい?」
風花がきくと、輝は大きく首をたてにふった。
「すっごくおいしいよ!」
「よかったあ。輝がおいしいっていってくれたら、うれしいなと思ってたんだよね。」
ほんとうは、すこし目的はちがうのだが。
いや、輝をよろこばせたかったのもあるが、本来の目的は、家に泊めてくれたお礼だった。母からもらっていたお小遣いで買ったのだ。
「あっ、輝、はやく準備しておいでよ。」
「うん、ごめん。ありがとうね!」
輝は、手を振りながら、教室にむかった。