二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜6000越え!? ( No.315 )
日時: 2013/11/13 05:37
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: J69v0mbP)

☆番外編☆第十六話   「第一視聴覚室にて」



それから、けっきょく風花は誰にもいえないまま、ずっとみんな(主に女子)にいじめられ続けた。一番タチが悪かったのは、髪を切られたことだったが、それ以上はなかった。

「ねえ、あんた起きてんの?」
「起きてるよ、いちおう。」
「うっそだ。どれ?」

そういいながら、ひとりの女子が、風花の腹を蹴る。小さくうめくと、女子は「あ、ほんとだ〜。」とニヤニヤしながら風花を見下ろした。他の女子たちも、それを見て、

「やだ〜起きてるなら起きてるって、自分でいってよ〜。」
「分かんないから、あたしたちも蹴らなきゃいけないしさぁ。」
「これ、別にいじめじゃなくて、確認作業みたいなもんだし。」

なにを白々しい。
だが、風花がそれを口にすることはできない。口にしたら、どうせおきまりの『アレ』がくるだけだ。
風花の意図を察したかのように、女子のひとりが笑いながらいった。

「もしこのこと誰かに話したら、輝って子もいじめるからね?」

びくっと、風花の肩が跳ねた。それを見て、女子がくすくす笑う。

「そうそう。それに、近づいてもいじめるから。」
「そのとーり。」

二年生にして、この現状。なんとかしてほしいが、どうにもならない。ここは、教室ではないのだから。
第一視聴覚室。めったに使われることもなく、出入りする人間もほとんどいない。だが、遊ぶ道具があるため、休み時間の間は、いつも解放されている。おまけに、もうひとついうと、人目につかない。
そこで、この女子たちは、風花を連れて女子で楽しく遊びに行くように見せかけて、第一視聴覚室でいじめを行う。つまり、誰にも見られない場所で、風花をいじめるのだ。誰にも、見られないようにして。

「ねえ、鐘鳴っちゃうよ。」
「あ、ほんとだ。チェッ、つまんないの。」

なにがつまらないんだか。どうせ、授業中もうっとうしいほどやってくるくせに。
風花は別に、彼女たちに恐怖心は抱いていなかった。最初はあった。だが、続けられて二ヶ月もたったら、それよりも、怒りの方が大きくなっていた。
抵抗なんかしない。どうせやっても助からないし、また「輝をいじめるから。」とおどしてくるのだから。
女子がほんとに、輝をいじめるわけがないと、風花は知っている。だが、どこか不安もあった。だから、誰にも話せないし、話したくないのだ。
だけど、やっぱり、苦しいしつらいのは、事実だった。