二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜 ( No.325 )
日時: 2014/01/19 21:13
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: J69v0mbP)

☆番外編☆第二十三話   「飛行機」



飛び回る友撫を、母が抱き上げると、こちらをふり返った。

「風花、お父さん、いくわよ。」
「うん! 分かってるよ!」

風花が笑顔で返事をすると、母も友撫を見て、ふふっと笑う。風花のとなりにいる父も、ほほ笑みながら三人を見ていた。
そして、もうひとり。

「いってらっしゃい、ふーちゃん。楽しんできてね!」

輝が、風花のとなりでにっこりと笑っている。

「えへへっ。輝も来てくれて、すっごいうれしいよ!」
「えっ、あ、うん! ……ふーちゃん、さびしくないの?」

おそるおそる聞くと、風花は満面の笑みでうなずいた。

「あったりまえじゃん! だって、最後に輝と一緒だったよ? さびしいなんて、思わないよ!」

すこし戸惑ったようにほおをかき、「えへへ。」とぼやく。
それをながめていた父も母も、ほほえましいようすに、思わずくすりとしてしまう。
目の前にある飛行機を目に、風花の目は輝いていた。その瞳に、輝もどこか、わくわくしてくる。
が、きゅうに、風花の瞳に暗い色が現れた。

「でも、やっぱり……ちょっと、さびしいな。」

落ちこんだ声。
輝は不安になり、彼女の顔をのぞきこんだ。

「だって、輝と一緒にいられないんだもん……。」
「えっ//」

幼いながらも、輝はかなり恥ずかしくなった。
いくらなんでも、これは……ちょっと、どうなのだろうか。世間一般からすると、その……いわゆる、カップルに分類されるのではないだろうか。

「そ、それは……//」
「でも、がまんするよ!」

ぱっと明るい顔にもどり、輝をふり返った。
それで、やっと輝も、調子をとりもどす。

「う、うん。」
「帰ってきたら、また輝に会えるんだもん!」

そう言って、弾けるような笑みを浮かべた。
笑って、いたのだけど。
ただひとり、すこし暗い表情のまま、飛行機に乗りこんでいった。



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短くてすみません……。