二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナクロ〜なくしたくない物〜8話更新&400越え ( No.48 )
- 日時: 2012/08/08 16:42
- 名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: z52uP7fi)
10話 「『サッカーロボット 案1 警備ロボット 案1』」
俺はねむい目をこすりながら、外に目を移した。
『木枯らし荘』っぽかった。
「あっ、やっと起きた。」
フェイがキャラバンに乗りこんで、俺を見ていった。
「フェイ。あのさ、これ、ありがとうな。」
俺は、服をフェイに手渡して、俺をいった。
「ううん、べつに。ただ……よくねむれたね。移動は短時間なのに。」
「わりぃ。ついついねむくなっちゃったみたいでさ。」
「『覇者の聖典』を書いたひとがわかったんだ。マスターDの正体は……。」
「円堂大介じゃねえの?」
「ええっ! な、なんでわかったの?」
いやいや。マスターDだの、『覇者の聖典』とかいうネーミングセンスからして、どうかんがえてもじいさんだろ。
って、フェイはじいさんに会ったことないのか。
「ていうか、じいさんの字、ものすごく雑だっただろ?」
「見てもいないのに、よく文字が書いてあるってわかったね。しかもすごく雑って……って、ぼくなにいってるんだろ! 失礼だよね。」
「いいんだって。あの字の雑さは、円堂さんも遺伝してるし。あ、円堂守ね。」
「へえ。」
「なーに話してんのさ、お兄。はやく出発するよ〜。」
「いつの間におまえらも乗りこんでいた!?」
「「ついさっき。」」
声をそろえていわんくても……。
ま、べつにいいんだけどなー。
「それでは、円堂大介の生きていた時代へ……。」
あ、くる。耳栓は……って、どこにいった!? 耳栓イズコへ!?
「トゥアイムジャァ——ンップゥッ!」
うるせええぇえっ! てか、こんなデカい声のかけ声いらねえ!
と、まあさておき。
俺は、キャラバンのおくに入れておいたカバンをごそごそっとあさりだし、バッグのなかから、なつかしい『あの』紙を二枚とりだした。
俺の胴と同じくらいの大きさの紙。そこには、機械の設計図が書かれていた。
『サッカーロボット 案1』
『警備ロボット 案1』
紙のはじっこには、そう書いてあった。やっぱり。まちがいない。
この設計と、なにもかもいっしょだ。つくりも、機能も、素材も。
すごい。『あのひと』の理想を、あそこまで細かくつくりあげるなんて! 俺は感嘆の声をもらしそうになった。が、すごいと思う反面、なんで……と疑惑がうかぶ。
この設計図は、『あのひと』が複製したものをもらっただけのもの。ほんものの設計図は、もっとべつのところにあるっていうのに……。
「ついたぞ。円堂大介の生きていた時代だ。」
ワンダバの声で、俺は反射的にバッグのなかに紙をおしこみ、バッグをキャラバンの元あったところにもどした。
「お兄、一緒におりよー。」
信介や天馬たちと楽しそうにダベっていた友撫は、ウキウキしたようすで、俺の元にかけてくる。俺はもちろんわらって、
「おう、いくか。」
俺がいうと、友撫は「あのさ、じつは天馬さんからきいたんだけどさー……。」と、さっき発覚した事実を、俺に告げ口していたww
キャラバンから降りると、かなりムシ暑かった。どうかんがえても、日本じゃなさそうだ。
「ここは?」
「日本より南側にある島だ。」
「へー。ねえ、ワンダバ。大介さんはどこにいるの?」
天馬がそうきくと、ワンダバは左手にあった建物を指さした。
「えっ、あれは?」
「病院だ。」
「病院? なんで?」
「どうやら、円堂大介は入院しているらしい。」
「へえ……。」
なんだよ。俺、じいさんが死ぬまえ、病院にいたなんて、なんもきいてねえぞ。
にしても……いま気づいた。鬼道さんがいたんだな(←おそッ)。なんだよ、いたのかよ。はやくいってくれればよかったのによ。
目のまえでサッカーをしてる子どもたちに気づいた天馬が、すごくなつかしそうな瞳で、その子達を見つめる。そりゃあ、なつかしいだろうな。ついこのあいだ、サッカーが禁止されて、それから、ずっとサッカーしてる子どもたちを見てなかったもんな。
俺たちはそんななつかしい思い出にひたったあと、病院のなかに入り、じいさんの病室をきいた。