二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜10話更新&400越え ( No.50 )
日時: 2012/08/12 19:20
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: z52uP7fi)

2章   。○『あのひと』と病気○。


1話   「なんでなんだよ、父さん……」



「ねー、お兄。」
「なんだよ、友撫。静かに待てないのかよ。」

鬼道さんが、じいさんに会いにいくとかいって、会いにいってまだ二分とたっていないのに、友撫の奴、ヒマらしい。

「だって、ヒマだしー。」

おお、あたってたww

「ヒマって……鬼道さんいなくなってから、五分もたってねえぞ?」
「でも、ヒマなもんはヒマだもーん。ていうかさ、大介おじいちゃんに「われわれは未来からきたのだ。『覇者の聖典』に書かれていることを教えてくれ。」なーんてもうしでて、教えてくれるかねー。」
「じいさんのことだからな。たぶん、むりだろ。」
「……あ、お兄、そろそろ時間なんじゃない?」
「へ?」

友撫にいわれて、かべにかけてある時計を見てみると、たしかに、約束の時間をさしていた。

「ほんとだ。友撫、サンキューな。いってくるわ。」
「いってらー。」

俺はコソコソと病院をぬけだした。
そのとき、見られているなんて、まったく思いもせずに。


風花、なんででていったんだろう。しかも、かなりコソコソと。もしかして、なにかぼくたちにバレちゃマズイものでもあるのかな。

(友撫ちゃんは知ってるみたい。でも、あの子の性格上、問い詰めたってきっと白状するような子じゃない。……なら。)

ぼくは席をたった。天馬がいぶかしげにこちらを見る。

「フェイ、どうしたの?」
「ちょっと、外の風にあたってきたいなって。」
「そっか。いってらっしゃい。」

天馬はニコッとわらって、ぼくに手をふった。ぼくもわらい返すと、病院をでた。左右に首をふって、風花を確認しようとすると、風花は、病院の裏にまわるつもりなのか、左の角を曲がり、病院の横にまわった。
ゆっくり後をつけていくと、いきなりすごい音がした。

ドッシーン!

(!?;;)
「っててて……。」
「ったく、なにやってんだよ、このドジ。」
「なにっ!? もう一度いってみやがれっ。」

風花と……だれ? まったくききおぼえのない声だけど……。もうすこしきいていれば、わかるかな。

「ま、いいや。で、どうだった? 調査の件は。」

いまのは……風花。

「んー……ビミョウってところだ。情報があやふやなところもあるし。」

いまのは、ほんとうにきいたことのない声。いったいだれ? 風花とも、かなり親しい感じだし……。

「そっか。ちょっと、一回見せてくれ。」
「おう。」

パサッという音がして、つぎにパラパラと紙をめくる音がする。
パラパラというかわいた音がしばらくしたあと、パサッとふたたび、最初と同じ音がした。

「なるほどな……。これ、どこで?」
「藤代ヶ丘。やっぱり、雷門のほうがいいかと思ったけど、過去の記録なら。」
「え、それなら、俺の出身の病院のほうがよくね?」
「んなもん、俺知らねえし;;」

なに、このコント……。

「時間あるか?」
「いや、授業もあるし……。」

へっ、じゅ、授業?

「そっかー……。チッ、もうすこしおまえをいじめてやろうと思ったのに。」
「いまなんと!? って、デカい声だしちゃだめなんだっけな。
  んー……ま、しかたねえな。じゃあな。」
「おう。また新情報あったら、よろしくな。」

は、話おわった……?
ぼくがでていこうとしたら、風花がぽつりとこういった。

「なんでなんだよ、父さん……。」

え……? 父さんって、お父さん?
なんでって……いったいなにがあったの?
なにかあったの?

「……で、なんでひとの話をぬすみぎきしてるのかね、フェイくん?」
「わっ、うわあっ!?」

い、いつから……ていうか、気づいてた!?

「いつからぼくがいることに……。」
「え、いまさっき。」

ほっ。とりあえず安心。
でも、風花のいまのセリフ、きかれるとなんかマズいのかな……。すっごく怖い顔してるんだけど。

「……まあ、いいや。」
「えっ?」

風花はあっさりそういい、病院の入り口にむかって歩きだした。